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萩原芳樹のブログ
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「お茶子のブル-ス」有り難いことに、いろんなメディアで告知させていただいております。

先週の土曜日は関西テレビの「ぶったま」でご丁寧な告知をサブロ-さんからしていただき、
昨日はABCラジオで、私がゲストとして、お芝居の告知をさせていただきました。
桂吉弥さんの「とびだせ!夕刊探検隊」という番組で、来週月曜日(16日)19時~19時半の放送です。
何とか客席が連日埋まりますように祈っております。
宜しくお願い致します!

さて、今回のお芝居は芸人さん以外の役の方も登場します。
昨年の「女芸人、らん子のブル-ス・完結編」で、見事にミュ-ジシャン役を演じてくれた「トクトコ」の徳富啓太さん。今回の役どころは「漫才作家」です。

私も漫才を書いたりしている立場上、気持ちが入ってしまいます。

漫才作家というのは大変な仕事です。
ネタを書くというのは勿論のこと、それ以上に書いてから演者さんに見せる時がドキドキなのです。
「こんな台本、使われへんなぁ」と、言われたらどうしようという気持ちで。

私の場合、漫才台本に関しては、そんなひどい思いをした経験は幸いないのですが、
かつて「日活ロマンポルノ映画」の脚本で凄い屈辱を受けたことがありました。

それは、私が日活の脚本を初めて書かせていただくことになった時のこと。
脚本を書く前に、日活のプロデュ-サ-と、監督と私の3人が集まり、まずはプロデュ-サ-から、今回の映画のテ-マを与えられ、そのテ-マで私が脚本を書く・・・という段取りなのですが。

日活のプロデュ-サ-が私と監督に向かって、大きな声でこう言いました。
「今回のテ-マは、主婦の浮気だ!保険の外交をしてて男と寝ては契約を取る淫乱主婦がテ-マだ!いいね」
そこは乃木坂のオシャレな喫茶店。
周囲の客は「何の話をしているのか」と、こちらを見ます。
恥ずかしかったです。正直。

喫茶を後にした私と監督。「あんなしょうもない映画、僕は撮りたくないんです!」
と、監督はその足で横浜に連れて行ってくれて、「この街でハ-ドボイルドタッチの映画を撮りたい」と、熱弁を。

そして、二週間後、私は監督と話したイメ-ジを膨らませて脚本を書き、日活プロデュ-サ-に第一稿を持って行きました。
(映画の場合、書き直しが多く、普通で5回位あります)
場所は、また同じ乃木坂の喫茶店。
プロデュ-サ-は、私の脚本を一度読み終わった後、こう言いだしたのです。

「誰がこんな映画の本を書いてほしいと頼みましたか?打ち合わせと全然違うじゃないですか!」
監督が何とか助け船を出してくれるかと顔を見たのですが、監督は終始俯いたまま。

「それに裸のシ-ンも少なすぎる!こんなの全くダメ」
と、そのプロデュ-サ-は、ブツブツ怒りながら、なんと私の書いた脚本を一枚一枚丁寧に破って捨てて行くではありませんか。

当時の日活の脚本は200字原稿用紙に百枚程度。
その百枚をブツブツ怒りながら、なんと一時間もかけて破り続けられたのです。

黙って聞いていた私のこぶしがブルブルと、細かく震えていました。
でも、「ここで開き直ったら負けや」と、我慢しました。
作家にとって、書いた原稿を破られるというのはモノ凄い屈辱です。
私のガラスのハ-トは、パラパラという音とともに崩れてしまいました。

でもこの後、あの「井筒和幸」監督のひと言で私は立ち直りました。
どんな言葉だったのか・・・長くなるので、それは次にお話しましょう。
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さて、「モ-レツ7」役の「おしどり」のお二人について、お話しましょう。

その名の通り、現実におしどり夫婦であります。

「芸人」と「芸能人」という言葉がありますが、この二人はまさしく芸人です。
マコちゃんのアコ-ディオンは本格的な腕前だし、ケンちゃんのパントマイムもプロ芸です。

最近お笑いブ-ムで、いろんなお笑いタレントが彗星のごとく現れては、線香花火のように消えて行く現象が続いていますが、この人達は「芸人」ではありません。「芸NO人」なのです。
今の東京のTVは「芸人殺し」ですよ。「芸NO人」から「芸人」になろうとしている若い子を平気で抹殺してしまいます。
一過性の一発芸人は、すぐあきられて捨てられてしまう時代・・・。
以前では考えられない非情な世の中になってしまいました。
「TVで売れたい」そんな単純な発想の若者は次々と、人生をメチャクチャにされてしまうのでしょうね。

その点、この二人は大丈夫です。
マコちゃんは、鳥取大学医学部出身。そのまま歩めば女医さんになる人でした。
ところが大学生の時、阪神大震災があり「地震で気落ちした人は、医学では救えない!笑いの力の方が凄い!」と、感じて芸人の道に進んでしまった人です。

路上パフォ-マンスの「チンドン屋」からスタ-トして、その後は女ながらにして「新世界で流し」をやっていたそうです。
その時、「横山ホットブラザ-ズ」さんと巡り会い、お弟子さんに。

ケンちゃんは、パントマイム芸を磨いていた時、そんなマコちゃんに惚れきって、二人は結婚。
コンビを組んで現在に至るようです。

二人のこの経歴・・・まさに昭和そのものと言うべきか、平成の時代では考えられない若者です。

二人は何事においてもチャレンジ精神旺盛。
M-1グランプリに出場は勿論するし、それぞれ単独で「R-1ぐらんぷり」にも毎年出場しています。

ところが、マコちゃんときたら、「R-1」ではシモネタばかり。
会場は大爆笑になるのですが、結果的には毎年予選敗退。

今年、マコちゃんから、こんなことを聞かされました。
「私のネタはシモネタだから予選で落とされたのですか?」と。
「そら、そうや」と、私。
「でも、私のシモネタは放送できる程度だと思うし、ひねっている筈。もっと直接的なシモネタの有名タレントさんが何故予選通過してるんですか?」と。

私は答えました。
「マコちゃん、くやしいけどなぁ、世間で認知されてないタレントがシモネタやったら、グロイ・・・と、みんな思いよるねん。ところが、同じシモネタでも、超有名タレントとか、人気番組が一度認めてしまうとOKという世の中や。悲しいけど、それが現実やで」と。

「笑い」の世界は恐ろしいですよね。
権力が認めると、国民誰もが認めてしまう時代。
間違った方向に導かれているとは、誰も気がついてないのです。

戦後、米国が日本の国をダメにする為の「アホアホ教育」が、ここに来て実を結んだということなのでしょうか。

人間が力強く生きて行くエネルギ-と、パワ-。
そして、傷ついた人をいたわる優しさ・・・。
「おしどり」のステ-ジには、何かそんな元気が湧いて来るものが底にあるような気がします。

「お茶子のブル-ス」では、「おしどり」の本ネタも、劇中劇で出て来ます。
是非ご覧ください!
「お茶子のブル-ス」 次にご紹介する登場人物は、「モ-レツ7」という夫婦漫才コンビです。

今、注目株の「おしどり」のお二人が演じてくれます。
「モ-レツ7」というのは、昭和44年のCMで、「小川ロ-ザ」が「oh!モ-レツ!」と、スカ-トがめくれてパンチラになるのが流行していたので名付けました。
そして、マコちゃん演じるは「天満家みちを」 ケンちゃん演じるは「天満家わたる」
「みちをわたる」という、ふざけた名前ですが、戦前に実際いらしたコンビ名を引用させていただきました。

最近では「おしどり」のような夫婦漫才コンビは珍しい存在となりましたが、かつての寄席は夫婦漫才の方が随分多くいらしてました。

戦前の「ミス・ワカナ、玉松一郎」コンビに始まり、「夫婦漫才、花盛り」の時代は長く続きます。
「ミヤコ蝶々、南都雄二」「正司敏江、玲児」「島田洋介、今喜多代」などの、「奥さんボケ」のパタ-ンと、
「京唄子、鳳啓介」「人生幸朗、生恵幸子」などの、「亭主ボケ」のパタ-ン。

しかし、夫婦で漫才をされているのは、ホントに大変なことだと思います。
何しろ一日24時間ずっと一緒なのですから。
それでいて、舞台で笑いがない時には、「あんたが悪い!」と、ケンカする。
私なんか「いつ息を抜けるのか」と、心配すらしてしまいます。
だからでしょうか。離婚されている夫婦漫才さんも数多かったです。
でも、そのほとんどは離婚しても、コンビは解散せずに「離婚ネタ」で漫才を続けられるというから、凄いバイタイテイですよね。

私が「B&B」として花月に出ていた頃、「のぼる、かほり」という夫婦コンビの方がいらっしゃいました。
よくケンカもされていましたが、我々若手には、とても優しいご夫婦。

こんなことがありました。
私が舞台で急に貧血を起こしてしまい、倒れてしまったのです。
幸い、すぐに立ち上がれて舞台は続けられたのですが・・・。
楽屋に戻った私に、このご夫婦は優しくこんな言葉をかけてくださいました。
「舞台で倒れるやなんて、かわいそうに。ろくに食べてないのと違う?私等が昼ご飯おごってあげるから」
私はどんな栄養のつくものをおごってもらえるのか期待しましたが・・・
楽屋の電話で出前を注文してくださり、
「なんば花月の楽屋まで、素うどんとご飯一つ、持って来て!」と。
「素うどんと、ご飯?」
私はまた貧血で倒れそうになりました。

でも、それが精一杯のご馳走かと思うと、今更ながら有り難いご馳走でした。
昭和の楽屋って、ホントに面白いですよね。

明日は、「モ-レツ7」を演じる「おしどり」についてお話しましょう。
「お茶子のブル-ス」 次にご紹介する登場人物は、「西山八郎」です。

「八郎」は、「リリ-」と「姉さまキングス」という音曲漫才コンビであることは昨日述べましたが、
実際に今も「姉さまキングス」というユニットを組んでおられるこのお二人、
ステ-ジに立つ時は、白塗りで着物姿。
そうなんです。染雀さんは白塗りの女装をされて舞台に立たれているのです。

このお芝居でも、「姉さまキングス」の「八郎」は、白塗りの女装をして舞台に立ちます。
芸で女装しているのかと思いきや、楽屋でも男色家なのであります。

寄席の世界はもとより、芸能界というところは、男色家がやたらと多いところ。
(まぁ世間一般に比べると、カミングアウトしている人が、それだけ多いということでしょうか)

私自身も恐ろしい体験になりそうなことがありました。

吉本を辞めて、上京して一年後、私は「渡辺プロダクション」から多くの仕事をいただけるようになっていました。
当時の「渡辺プロ」は、芸能界いやTV界全てを取り仕切る程の大勢力。
「沢田研二」「小柳ルミ子」「天地真理」「アグネスチャン」「森進一」などの歌謡界の超大物を抱え、
「クレ-ジ-キャッツ」「ドリフタ-ズ」などのお笑いタレントをも抱えていた巨大プロでした。
「渡辺プロを怒らせてはTV番組は成立しない」という時代だったのです。

そんな時代に、渡辺プロからの仕事をもらえた私は、一日も早く専属タレントになって、売れっ子になってやろうという野心でいっぱいでした。
「アグネスチャン」や「キャンディ-ズ」の専属司会者にも抜擢されました。
そんなある日のことでした。

夜のステ-ジの司会(確か『奥村チヨ』さんの舞台だったと思いますが)で舞台が終わった時、
客席に来てほしいと、渡辺プロのお偉方から呼ばれたのです。
私が客席(そこは高級キャバレ-)に行くと、渡辺プロの方達が接待されていた大物らしき人がいて、
「君の司会、なかなか良かったよ。どこか飲みに行こうよ」と。

場所を変えて、その大物らしき方と私、それに渡辺プロのお偉方も何人か一緒で飲みに行くことになりました。
しかし、何か空気がおかしいことに、私はしだいに感じるようになっていました。
その大物が「まぁ、こっちに座りなさいよ」と、私を横に座らせようとする・・・。
その上、飲んでいて、時々じっと私の顔を見つめては、「ニヤリ」と、意味不明な笑顔をしたりする訳です。

その店を出て、また「次の店に行こう」ということになりました。
タクシ-に乗ったのですが・・・「私は、ここで失礼します」と、次々と渡辺プロの方達は、下りてしまったのです。
残ったのは、その大物らしき方と、私の二人だけ。
大物は二人きりになると、「今夜はもう遅いから、ホテルで寝ようか。私は○○ホテルに部屋を取ってあるから、君もそこで寝なさい」と。
「?・・・」突然の言葉に驚きました。
「大丈夫。心配しなくても、部屋はツインル-ムだから」と。
余計に心配です。
少し前から、不安に思っていたことが、ここで現実となってしまったのです。

私は開き直って、こう言いました。「すみません、家は近くなので帰りますから」と。
すると、大物は急に高圧的になり、「そんなことを言ってて仕事がなくなっても知らないよ」
「そんなこと、いいです!僕は大阪の吉本辞めて来た人間です。渡辺プロからほされてもいいです」
「あのね、あの○○も(余り大物なので名前は伏せておきますが)私の言う通りにして、あれだけ売れたんだ」と、大物は更に高圧的に。

「運転手さん、止めてください!」
アホらしくなった私は、タクシ-から下りて、大物を無視してスタスタと歩き始めました。
すると、まだその大物がタクシ-を下りて、私を追いかけて来るではありませんか。
そして、私に言ったセリフがこうでした。
「今夜のことは君と僕の二人の秘密にしておこうね」
「何をぬかしてんのじゃボケ!」と、心の中で叫びながら、大物を無視したまま私は夜道を早足で進んで行きました。

全くくだらない話ですが、このように芸能界の大物が女性タレントを権力で何とかしようとするように、男同士でも現実にあった訳です。 随分と「グロイ話」を具体的にしてしまいましたが、 話を戻します。 さて、その男色家である「西山八郎」役の「林家染雀」さんについてお話します。 染雀さんは、古典落語の世界が大好きで、染丸一門に入られた方。 古典落語を極める為に、日々研究熱心な方でもあり、三味線も元より、 ピアノ等の楽器もこなす多彩な落語家さんです。 その染雀さん、実は国立の大阪大学を卒業されているのです。 「らん子のブル-ス」をご覧になった方は、演じている役と阪大卒というギャップが信じられないでしょうが。 彼は阪大卒というレッテルをいっさい表面に出したりはしません。 私から見て、「もっと阪大卒を表に出した方が、おいしい仕事もあるのでは?」と、思ったりするのですが、そんなことはしない人なんです。 心底落語の世界が好きなんでしょうね。 そして、彼も「あやめ」さんと同じように役作りに関しては奥深いものがあります。 今回、残念ながら彼は2月いっぱい海外の仕事で芝居の稽古に参加できないので、出番は少なくなっていますが、 でも、そんな状況でもしっかりと役作りをしてくださると思います。 お楽しみに!
「お茶子のブル-ス」続いてご紹介する登場人物は「西山リリ-」という女芸人です。

リリ-は古いタイプの芸人で、三味線片手に音曲漫才をやっている訳ですが、
これがまた昼間から酒びたりという、どうしようもない女芸人なのです。

リリ-は「西山八郎」(林家染雀)と、コンビを組んでいる訳ですが、
このコンビ名が「姉さまキングス」
そうなんです。実在するユニット名をそのまま使わせてもらっています。

「姉さまキングス」は、「桂あやめ」さんと「林家染雀」さんが、三味線とバラライカを手に「都々逸」や「シャンソン」を歌うという、落語家二人の変わったユニットです。

「今の寄席では、見ることのできない音曲漫才をやりたい」という思いから、こんなユニットが誕生したらしいのですが、今回のお芝居と余りにもマッチするので、そのまま使わせてもらいました。
勿論お二人の本ネタも、劇中劇として。

さて、そんな「西山リリー」を演じる「桂あやめ」さんの話をしましょう。
 
「桂あやめ」という名前は、彼女の師匠の亡き「桂文枝」師匠の前座名。
つまり、師匠はかつて自分が名乗っていた名を、あやめさんにプレゼントされた訳です。
あやめさんは、このことに喜びを感じ、「私の落語人生は最後まで『桂あやめ』ですわ」と、おっしゃっていました。それ程亡き師匠のことが大好きだったのでしょうね。

落語の世界で女性の存在は貴重です。
というのも、古典落語のハナシに登場するのは、ほとんどが男。なので、女性が古典落語を演じるのは無理とまで、言われて来ていました。
しかし、彼女は登場人物を男から女に変えたりと、随分研究され、女が演じる古典落語を日々掘り下げて研究されています。
ホントに研究熱心なお人なのです。

お芝居の方でもそうです。
昨年「らん子のブルース」三部作では「柳流亭おまん」という女芸人の役をやっていただきましたが、
これがまた大変研究熱心。

どんなことかと申しますと、普通役者さんは脚本をもらうと「セリフをしっかり覚えて、その人物の心理を読み演技に取り入れます」

ところが彼女のすることといえば、それ以上のこと。
完結編で、里見まさとさん演じる「笑楽」というベテラン芸人と再会するシーンがありました。
脚本では「お久しぶりです」程度のセリフなのですが、彼女の場合、ここから奥深く考えます。
「おまんは、以前に笑楽師匠と一度だけ鍋食べに連れて行ってもらったことがあると思うんですわ」と、私に話ししてくれたことがありました。
「その鍋は、てっちりやと思います。おまんは、もし誘われたら体を許してもええかなとまで思うたのですが、その次連れて行ってもらった店のママと、笑楽師匠がエエ仲やと感じ、身を引いたんやと思いますわ」

まさに女流落語家「桂あやめ」さんは深い!
そして、脚本家にとっては、嬉しい嬉しい役者さんでもあるのです!
今日は「スリ-こいさんず」の残り一人、「若松家つばき」についてお話します。

トリオ漫才というのは、一つの形があって、ほとんどが中央のリ-ダ-がツッコミで、下手がボケ。上手の人は余り口をはさまず頷き役・・・レッツゴ-3匹さんが、その代表的存在と申し上げてもいいでしょう。
(漫画トリオや、トリオ・スカイラインは少し違いますが)

「スリ-こいさんず」も、その型通りで、センタ-のさくらがツッコミ。下手のすみれがボケ。上手のつばきは頷き役です。

今回の劇中でも、こんなやりとりがあります。
さくら「今日の舞台はアドリブで勝負しよう」
つばき「そんなん、いきなり言われても自信ないわ」
さくわ「あんたは、傍で頷いてるてだけでええのやから」

全くひどい話ですが・・・。
私自身も、洋七と漫才をやってた頃、自分だけでネタを決めて、相方に何も教えず「黙って俺の言うことに、ついて来てたらええ!」と、生意気なことをやった時もありました。
実は、いくら稽古しても上手く行かないので、そんな荒治療を一度してみるのもいいかという判断でしたが。

でも、「頷く」と、ひとことで言っても、ついて行く方は大変ですよね。
余程人間ができているか、余程何も考えてない天然か、どちらかしか無理です。

「つばき」の場合は後者です。
まぁ天然というか、言うセリフが全て少しずつ的ハズレなのです。


そんな「つばき」が、チャ-ミングで、かわいい存在なのですが・・・。
実は、この「つばき」は、ある人物をモデルにしています。
その人物というのは・・・演じている「こっこ」さん本人なのです。

では、「こっこ」さんについて、お話しましょう。
「こっこ」さんは、今回の主演のメグマリコさんと、高校時代から同級生の仲良しで、
メグさんの紹介で、あの今は亡き「爆笑王・Mrポ-ルド」さんの、たった一人のお弟子さんです。
勿論、師匠譲りの一輪車芸が本芸で、今も一輪車芸で活動されている方。

でも、私が登場人物のモデルにしたい程の魅力あふれる「天然ちょいとズレ人間」でもあるのです。

どんなズレ方かと申しますと・・・
今、これといった具体的エピソ-ドを思い出せないので、例え話で。

例えば、グル-プで桜の花見に出かけたとしましょう。
みんなは、桜の花を見上げて「綺麗やねぇ」と。
こっこさんも「ホンマに綺麗なハナやねぇ」と、上を見ず、横を見ています。
それに気付いたメグさんが、「あんた、どこを見てるの?」と、聞くと、
「ハナ、綺麗やわぁ」
「花は上やろ?」
「外人の鼻って、何であんなに綺麗なんやろ」と、
桜の花を見ず、花見に来ていた外人の鼻を見て感心しているような人・・・。
(こっこ、ゴメンな。例えが悪すぎたか?)

何か、そのスットボケぶりが周囲を明るくしてしまう人なんです。

この「こっこ」さん、凄いと驚いたのは、持ち前の運動神経です。
「吉本陸上」に出場したら、多くの種目で間違いなく、金メダル独占してしまう程の運動神経の持ち主なのです。

芝居のメンバ-が集まって、テニス大会をしたことがありました。
私は多少のテニス経験があるので、初心者のみんなに教えていたところ、
「こっこ」さんの質問だけは、随分高度な質問ばかり。
サ-ブの打点の位置や、フォロ-スル-の態勢とか、初心者では気付かないポイントばかりを聞いてくるのです。

「スポ-ツでは、これだけ感がええのに、何故芸で生かせられんのかな?」
そんなことを思ったりしたこともありました。
しかし、今日のお芝居の稽古で、私がひと言アドバイスしただけで、
見事にやり遂げてしまったのです。
「やっぱり運動神経の良い人間は、感は鋭い!」と、感心させられてしまいました。

そんな「こっこ」さん演じる「若松家つばき」・・・・楽しみにしてください!


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