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萩原芳樹のブログ
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「男はつらいよ」シリ-ズのマドンナとして、一番多く登場するのが、浅丘ルリ子さん演じるキャバレ-歌手の「リリ-」です。

第11作に初登場して、15作、25作、そして最終回の48作と、4度も同じ人物としてマドンナ役をされています。

このシリ-ズは、一話完結かなと思いきや、続きものなのですが、マドンナに関しては、ほとんどが一度きり。
そんな中で、浅丘ルリ子さん演じる「リリ-」は、監督の思い入れがあったのか、もしくは渥美さんの思い入れがあったのでしょうか。

リリ-は、キャバレ-まわりの歌手です。
ろくに聴いてももらえないキャバレ-で歌を唄い、全国を転々として歩いている女性。
昭和40年代には、そんなキャバレ-歌手が随分いたものです。
そして、そんなドサまわりのキャバレ-歌手の人生を、この作品では見事に描かれています。

寅さんと、リリ-が最初に出逢うのは、北海道の網走。
インチキくさい古いレコ-ドを売る寅さんに、リリ-がこう声をかけます。

「さっぱり売れないじゃないか」
旅人同士の男と女の出会いです。

キャバレ-まわりの芸人をしていた当時の私にとっては、とってもステキな出会いであり、大好きな二人の恋愛の始まりでした。
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「男はつらいよ」シリ-ズで、寅さんが写真を撮ることになった時のことです。

義理の弟のヒロシさんの実家に不幸があり、偶然居合わせた寅さんも葬式に参列します。
そして、みんなでお墓に行った時、墓の前で集合写真を撮ろうということになります。

寅さんが一番遠い親戚なので、寅さんがカメラを構えます。
そして、「ハイ、笑ってぇ!」と一言。

一同は怪訝な顔になります。
妹のサクラが、「お兄ちゃん、お葬式なのに、笑ってってことはないでしょ」
こう言うと、寅さん今度は・・・

「ハイ、泣いてぇ!」
ヒロシの親戚中全員しらけた顔になってしまいます。
これは別に名言ではないが、「男はつらいよ」シリ-ズに何度も登場するギャグ。

写真撮影の時、「ハイ、笑って」と言われて、「チ-ズ」を間違えて、「バタ-!」と、大きく口を開けた瞬間にシャッタ-が。

全シリ-ズの中で、3~4回は出て来たと思う。
テニスの全豪オ-プンが始まった。
しかし、放送されるのは、深夜0時を過ぎてからWOWWOWで。
マイナ-なスポ-ツなので仕方ないが、こんな時期はつらい。
眠いのに、深夜にテニスの素振りをしてしまったりする。

先程世界NO1である筈のフェデラ-が一回戦で苦戦していた。
フェデラ-は、私と同じタイプのプレイヤ-。だと、私は勝手に思って応援してしまう。

柔らかく、ネットプレ-のドロップショットを使うフェデラ-。
私も、ドロップショットを得意としている人間だ。

高校生の時、バドミントンでも、ドロップショットを得意としていた。
考えてみれば、私の人生、全てがドロップショットなのかも知れない。

誰も目をつけていない所に落とす。
卑怯かも知れないが、残り少ない人生。せいぜい、そんなドロップショットの人生を送って行こうと思った。
これは、第15作「寅次郎相合い傘」での寅さんのセリフです。

旅先で、寅さんが親切にしてくれたからと、とら屋に高級メロンを持ってお礼に来た人がいて、高級メロンをもらったとら屋の人たちは大騒ぎ。
早速、夕飯のデザ-トに、そのメロンをいただこうとします。

オバチャンは、人数を数えて六等分にメロンを切る訳ですが、商売に出かけている寅さんの存在をすっかり忘れています。

みんなが「美味しい」と、メロンを食べ始めた時のことです。
寅さんが鼻歌を唄いながら帰って来ます。
「いけない!寅ちゃんのこと、忘れてた」と、オバチャン。
一同、バツ悪く、ちゃぶ台の下に食べ始めたメロンを隠します。

何かおかしな空気だと感じて、やがて皆が隠していたメロンに気付く寅さん。
凄い血相に変わります。
そして、暫く間があって、このセリフです。
「訳を聞こうじゃないか・・・」

メロン一つのこと。それを深刻なセリフにしてしまう。
素晴らしい脚本であり、演出だと感動しました。
つまり、このセリフの奥底には、「どうせ俺は家族の一員じゃないだろう」という寅さんの思いがあっての言葉なのですが・・・。

この回は私、新宿松竹の封切りの夜のオ-ルナイトで観ていました。
映画館には、ホステスさんらしき寅さんファンで満員。
このセリフに場内は爆笑だったのを記憶しております。
そして、開演前と、終演にはファンのホステスさん達も大拍手。
映画館で、あんな拍手や爆笑を経験したのは、後にも先にも、寅さん映画だけでした。
浅川マキさんが亡くなった。
仕事先の名古屋のホテルで、一人寂しく最期を遂げられたらしい。

私は、浅川マキさんのファンであった。
というか、アングラが大好きだった。
心の底から絞り出すような浅川マキさんの歌が、とても好きだった。

高校生の頃、漫才の道を捨てて、上京して「アングラ劇団」に入ろうとまで思ったこともあった。

今夜は「夜が明けたら」を、口ずさみながら寝るとしよう。


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