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萩原芳樹のブログ
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ヨンちゃんは4年生になった。
しかし、クラスはそのまま。
休み時間が苦痛であった。
誰も、ヨンちゃんの傍には来ない。

担任の先生が替わった。
「これで少しは・・」
と、ヨンちゃんは期待したが、逆であった。

その担任は、3年の担任よりも、ヨンちゃんのことを嫌っていた。
職員会議で、ヨンちゃんのお母さんと一番意見がぶつかり合う先生だったのだ。

4年の二学期の始め。学級委員長の選挙で、またヨンちゃんは委員長に選ばれた。
おかしな話である。普段無視しておいて委員長に投票する。
でも、田舎の子は勉強のできる子に投票すれば良いと思っていたようだ。

ヨンちゃんが委員長に決まった瞬間、担任がこんなことを言い出した。
「みんな、学級委員長たるものが何かわかってるのか?勉強できるとかの問題じゃなく、クラスをまとめられる人物を選ぶことだ。萩原が適任なのか、よく考えてみろ。わしは矢野が良いと思ってる。もう一度選挙のやり直しをするから、よく考えて投票しろ」

そんな訳で前代未聞の学級委員長の選挙のやり直しが行われた。
担任の言葉を受けて、改選では矢野君が圧倒的票を集めて委員長になった。

ヨンちゃんは正直ホッとした。
家に帰って、お母さんにそのことを報告すると・・。
「冗談じゃない!メチャクチャや、この学校は!」

当然のごとく翌日になって、ヨンちゃんのお母さんは担任に文句を言った
ようだ。
担任の先生は、その後もっとことごとくヨンちゃんに冷たく当たって行く。

ヨンちゃんは、相変わらず一人ぼっちのままだった。
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「村八分」という言葉がある。
日本の農家の村の昔からの風習で、村八分にされた家は、全く相手にされない。
そもそも農業というのは、水田に水を引き入れたり、いろんな作業をするのに協力体制が必要となる。
だから、村のみんなと一緒にやって行けない家は、村八分とされた訳である。

ヨンちゃんは、クラスの中で村八分状態であった。
友達はできない。
テンショん高く、明るくふるまえばふるまう程、クラスの仲間は遠巻きになって行った。

「母ちゃん、僕また元の城東小学校に転校したい。毎日汽車で通ってもいい」
ヨンちゃんは涙ながらに訴えたが、聞いてはもらえなかった。

学校へ行くのが苦痛になって行った。
「休みたいなぁ・・・」
仮病を使って休もうかと、何度も思った。
すると不思議なものである。
休みたいと思うと本当に熱が出るのであった。

ヨンちゃんは学校を休みがちになって行った。
しかし、熱はあってもお母さんから宿題は与えられていた。
勉強に遅れないようにと、その日授業で勉強するところを教科書を中心に、参考書や問題集に取り組む。
病で寝込んでいるので勉強ばかりじゃ大変だと、本を読むことは許された。

ヨンちゃんは半ば仮病気味で休んだ日は、小説を読みまくった。
そんな小説の世界に自分が引き込まれて行くことが大好きであった。
何故なら現実逃避ができたからである。

ヨンちゃんは白昼夢をよく見る子供に成長して行った。
小学3年で転校をして、すぐピアノを習うことになったヨンちゃん。
授業が終わって一度帰宅していると間に合わないので、学校の前からバスに乗り、姫路の駅前の先生のところに通う。

授業を終えると、ヨンちゃんは職員室へ行く。
同じ学校で教員をしているお母さんが、ピアノの教材等が入った鞄を持って来てくれていたので、ヨンちゃんはランドセルを預けて、ピアノ用の鞄に持ち替えて行く。

しかし、問題はこの時のヨンちゃんの服装であった。
ピアノの稽古の日は、まるで金持ちのボンボンスタイルの服を着せられる。
ヨンちゃんが通っていたピアノ教室は、お金持ちの子の集まりだったので、恥をかかないように・・・と、お母さんが着せてくれていたのが。

そんな服装で通常の授業を受けていたヨンちゃんは浮いていた。
クラスには、破れたズボンにつぎはぎをしてはいて来るような子が多かったのだ。
クラス全員から、ヨンちゃんは冷たい視線を浴びた。

「母ちゃん、もうピアノ習いに行くの嫌や!」
ヨンちゃんは、ごねた。
オシャレをして学校に行くことが嫌だと告げると、
「わかったわ」と、お母さん。

結局ヨンちゃんは、次からピアノの日も普段の服装で学校へ行くが、授業が終わると、職員室の隅で着替えてはバスに乗ってビアノ教室へ行くことになったのであった。


どうして担任の先生がヨンちゃんのことを「町の子やから」と、まるで敵のごとく扱うのか・・・。

ヨンちゃんは、その謎をすぐに解明することができた。
転校して間もなく、一家で夕飯を食べていた時のことであった。

いつも穏やかなヨンちゃんのお母さんが、珍しく怒っていた。
「全く田舎の学校の先生は、生徒達の教育をどう考えているのかわからないわ!」
お母さんは、国鉄勤めのお父さんにボヤいていたのだが、ヨンちゃんはしっかり聞いていた。

姫路・・とて田舎町だが、そんな姫路の中でも、町中と田舎では教育方針に随分とギャップがあった。
ヨンちゃん本人も転校して驚いたのだが、「田植え」のシ-ズンには半ドンになって、午前中だけの授業で子供達は帰宅させられる。

農繁期なので、早く帰宅して家の田植えを手伝いなさい・・という意味らしいが。
しかし、その頃さすがに田舎といえども兼業農家ばかりで、農作業を本気で手伝う子供の数も減っていた。
いわば昔に作られた決まり事をダラダラと継続しているに過ぎなかった。

ヨンちゃんのお母さんは、そんな教育方針を変えようと、随分と職員会議で熱弁をふるったらしい。
その頃の姫路市の教員の配属はイビツで、町中の先生と、田舎専門の先生にハッキり別れていた。

つまり、ヨンちゃんが「町中から転校して来た特別な子」と、蔑視されるように、お母さんも他の先生方から「うっとうしい先生が来た」と、煙たがれていたのである。

確かに田舎の小学校の教育レベルは遅れていた。
ヨンちゃんも、転校してダントツにクラスのトップレベルになってしまう程。
(まぁこれはヨンちゃん「しめしめ」と、思ったらしいが)

だから「オマエの母親にクソ生意気なことばかり言われて、俺はむかついてるんや!」とばかりに、担任の先生はヨンちゃんに当たって来る。

しかし、ヨンちゃんのお母さんは強気だった。
「こんなクソ田舎になれすぎてくすぶっていたらダメ」
とばかりに、逆に町中の子とふれあう稽古事にどんどん通わせるようになった。

ヨンちゃんはピアノを習いに行くことになった。
それも、姫路の中でも、かなりお金持ちばかりが通う先生のところへ。
ヨンちゃんとクラスメ-トの間に、またまた距離が生じて来た。
先程「ウィンブルドン」の中継をTVで見ていてハラハラした。

NO1シ-ドで私の好きなプレイヤ-であるフェデラ-が、なんと一回戦で負けそうになっていたからである。

見ているとフェデラ-らしくない防戦一方のテニス。
相手にことごとくバックを攻められているのに、スライスでつないではポイントを取られる始末。

「バックも、トップスピンを使え!」
私は、一人熱くなっていた。
結局2セットは落としたものの、後の3セットを取り、何とか一回戦を勝ち上がった。

生意気なようではあるが、私のテニスプレ-はフェデラ-に似ているので、ついつい応援してしまう。
バックハンドが両手の多い今の時代に片手バックハンド。
それにドロップショットを得意とする。
自分のテニスプレ-に似ているので、ついつい我のことのように思えてしまうのだ。

連載中の「ヨンちゃん物語」に少し釘を刺してしまったようだが、世間が余りにもサッカ-のWカップばかり騒いでいるので、こんなことも書きたくなってしまった。

注目されているモノばかりに集まる農耕民族独特の日本人にはホトホト呆れるばかりなので・・・。
ヨンちゃんが田舎の学校に転校をして、一週間も経たないうちに遠足があった。
遠足といっても、午後の5時間目をつぶして、クラスで近くの山まで歩いて出かけた程度のこと。
つまり、新学期でクラス替えをしたので、新しい友達と仲良くなる為の遠足であった。

そこで相撲大会をやることになった。
担任の先生が、対戦の取り組みを発表しては、男の子達が相撲を取った。

ヨンちゃんは、この頃体格も良く、身長もクラスでは後ろから二番目。
それに子供の頃から大の「吉葉山」ファンの相撲好きときている。
次々と対戦相手を投げ飛ばして行った。

同じく負け知らずの子がいた。
どうやら学年の番長的存在であることは、ヨンちゃんも感じていた。

ヨンちゃんと、その子の勝負の時が来た。
がっぷりに組み合う。
と、その時であった。
クラス全員が、相手の番長を応援し始めたのである。
担任の先生までもがそうだった。
「町の子なんかに負けるなよ!」と。

勝負は、ヨンちゃんが上手投げの勝ち。
しかし、問題はその後のことであった。

「なんで町の子なんかに負けたんや」と、担任。
クラスの面々も負けた番長ばかりをねぎらった。

まさしくアウェ-の戦いであった。
ヨンちゃんのサポ-タ-は、誰一人としていなかったのである。
まるでヒ-ルそのものの扱いでもあった。

ヨンちゃんは、また「一人浮いてる」と、感じた。
そしてヨンちゃんは思った。
「今度、奴と相撲する時は、ワザと負けた方がええのや」と。

転校生を大事にするどころか、目のかたきにされる。
それも担任の先生が一番強烈であった。

ヨンちゃんは何故担任の先生が自分のことを目のかたきのようにするのか理解ができなかった。
しかし、暫くしてその謎が解けたのである。
その謎とは・・・。




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