萩原芳樹のブログ
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テニスで肘を痛めてしまった。
「テニスで肘を痛める奴なんて、悪い打ち方をしているからだ」と、今までバカにしていたが、自分がそうなってしまった。 今も温シップをした状態である。 昨年テニスで左足の膝を痛め、先月は右手首を痛めた。 今度は、ついに右肘である・・・トホホ。 仕事仲間に「何のメリットがあって、そんなにテニスをされているのですか」と、聞かれたことがあった。 私は即答できなかった。 何なんだろう・・・。 稽古事は何故楽しいんだろう。 上手になろうと努力をする。 そして、一段階でも自分が上達すると、自分を誉めてやりたくなる。 人生を楽しむということは、そういうことなのではないだろうか。 幸い私は趣味を仕事として選ぶことができた。 結果が金銭ではなく、あくまで自分の達成感として味わえて、この年まで楽しんで仕事をやって来られた。 今後も、仕事にテニスにと、己の達成感の為に前向きに生きて行こうと思っている。 こんなことを書いていると、「贅沢な!」と、叱られるかも知れない。 でも、金にゆとりがなくても、心にゆとりを持てるのは、本人の自由である。 小沢一郎に、この言葉を聞かせてやりたい。 奴は金も地位も手に入れたが、心にゆとりがなさすぎる。 そんな奴に、この国を握られてはいけないと思う。 PR
今年の全米オ-プンテニスをWOWWOWで見ていた。
私が大ファンの「イバノビッチ」が二回戦で戦っていた。 この「イバノビッチ」は、数年前までは世界のトッププレイヤ-であったのにも関わらず、今回はノ-シ-ドのチャレンジである。 壁に当たった原因は、サ-ビスのトスが問題らしい。 よくよく見ると、あさっての方向に行ったトスを無理矢理サ-ブしている。 「やめとけ!打つな!」と、TV画面に向かって何度も叫んでしまった。 女子テニス界の美人といえば、何かと「シャラポワ」が代表されるが、私は「イバノビッチ」の方が美人だと判断する。 その「イバノビッチ」の試合、最後まで見ようと思っていたのだが、TVを消して寝ることにした。 というのも、明日は朝早起きをして、私もテニスをしなければならないからだ。 「イバノビッチ」とは言えないが、明日一緒にテニスをするのは「ババノビッチ」と呼んでもいいオバサンばかりである。 ああ、イバノビッチのような美人とテニスをしてみたいなぁ。
「許したったら、ええやないか!」
突然姿を見せたおまんのその言葉に一同は驚いた。 「ぴん子をメンバ-に入れんかったら、あんた等鳥取の温泉行きやろ」 すでに情報は、おまんの耳に入っていたようである。 「こまどり娘は、らん子にぴん子にぽん子の3人が揃うてないと、こまどり娘やないのや。ケンカするのも結構。ネタでもめるのも結構。そやけど一度舞台に上がったら3人の力でお客さんを満足させるのがホンマのこまどりや!」 土下座していたぴん子が、思わず顔を上げた。 まさか、おまんの口からそんな言葉が発せられるとは夢にも思っていなかったからなのである。 「こまどり娘がここにいてくれんことにはな、私も新コンビを組んで何を目標にしたらええのか、わからんのや。な、許してやって」 さすがのぽん子も、おまんの言葉はグサリと来た。 「らん子、あんたはどうやねんな」 「私は・・・」 躊躇いながらも、らん子はきっぱりと言った。 「おまん姉さんのおっしゃること、その通りやと思います」 「そうか、わかった。ぴん子、頭を上げえな。どうしても、こまどり娘に戻って来たいのなら、呑んでもらわなアカン条件が一つある」 ぽん子が奇妙なことを言い出した。 「これからは、このらん子が、こまどり娘のリ-ダ-や。リ-ダ-のらん子に絶対服従すること。これが条件や」 「わかった!らん子がリ-ダ-なら、それでええ!」 ぽん子とぴん子のやりとりで、らん子がこまどり娘の新リ-ダ-になることが勝手に決まってしまい、らん子は驚くばかり。 「ちょっと!まだ素人同然の私がリ-ダ-て・・・」 「ようし、そうと決まったら、早速こまどり娘の舞台を久しぶりに見せてもらおうか。千吉、支配人ににかけ合うてな、こまどり娘が終結しました。すぐ出番を組んでくださいと頼んで来てんか。おまんがそう言うてるて」 「ハ~イ」 千吉は、支配人のところへ急いで行った。 「さあさ、こまどり娘はん、出番でっせ。舞台衣装に早く着替えて!」 おまんから、呷られるようにして、こまどり娘の3人は着替えに行く。 傍でその様子をずっと見守っていた落語家の笑遊が、おまんに声をかけた。 「おまんさん、あんたよう言うた。なんやかんやいうても同じ一門や。ホンマはこまどり娘のこと、心配してたんやな」 おまんは首を振り、 「今のセリフは私の口から出たセリフやありまへん。亡くなったおまん師匠が、私の体を借りて言いなはったのと違いますやろか」 そう言われても笑遊には、まだピンと来ない。 あれだけ自分を追い出したこまどり娘が憎いと言っていたのがウソのようであったからなのである。 そんなところへ、ジョ-ジが新聞を持ってやって来た。 「えらいこっちゃ!この記事見て。ヘンリ-が麻薬で捕まったて新聞に出てるわ。らん子はどこや?」 「そんなもん、今見せたらアカン。この大事な時に」 「大事な時て?」 「こまどり娘がな、復活するのや」 こまどり娘の3人が、いつものそろいの派手な衣装に着替えて来た。 いよいよ久しぶりの舞台である。 「お先に勉強させていただきます!」 こまどり娘の3人が、楽屋のメンバ-に深々と頭を下げて舞台へと向かって行く。 特に、おまんには3人とも丁寧なお辞儀をして行った。 こうして「こまどり娘」は無事復活できて寄席の舞台に戻れることになったのであった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 以上が、一昨年1月公演致しました「女芸人らん子のブル-ス」第一話です。 内容は、かなり勝手に省略してまいりましたが、ひき続いて5月に公演した「女芸人らん子のブル-ス2」を綴って行きたいと思っております。 時代は、それから4年後、昭和47年に移ります。 麻薬で逮捕されたヘンリ-がそれからどうなったのか、また、らん子がどんな女芸人として成長して行くのか・・・お楽しみに!
東京のTVで活躍している筈のぴん子が突然帰って来たことで、笑楽座の楽屋は騒然とした。
「ぴん子さん、あんた東京のTVのスケジュ-ルで埋まってたのと違うんですか」 らん子に続いて、ぽん子も声をかける。 「そうや!こんなところにいてる場合やないやろ」 ぴん子は、落ち着いた様子で楽屋に座り、辺りを見回してから、ゆっくりと語り始めた。 「東京のテレビ、み~んなやめて来た」 「ええっ!」 らん子ぽん子を始めとして、楽屋に集まった芸人全員が、その言葉に驚いた。 ぴん子が続ける。 「東京のテレビってな、スタジオに客入れてるけど、みんな笑い屋と呼ばれている金もろうてる客ばっかりでな、金もろうてるから何でも笑いよるねん」 つまり、こういうことである。 東京で作る番組には予算がある。 そこで、当時大阪では考えられないことであったが、スタジオ観覧希望として来た客には全て金を払っていたというのである。 映画やドラマには、通行人役が必要なので、エキストラをTV局が発注するプロダクションがあった。 そのプロダクションにエキストラ料金を支払って客として呼び、無理矢理笑わせていたということである。 呼ばれた観客は、「水戸黄門」の通行人をした翌日に、笑い屋としてスタジオに来たりしていたのであった。 「全部ニセモンの笑いや!」 ぴん子が憤慨したように続けた。 「滑ったなと間を外した時でも、無理矢理大声を出して笑いよるねん。私な、そんなニセモンの笑いがつくづく嫌になってな。それに比べたら、ここの笑楽座のお客さんは、ホンマもんのお客さんや。東京のスタジオみたいに金もろうてるんやない。金払うて観に来てくれてるお客さんやから」 「ということは、ぴん子さん、また一緒にやれるんですか?」 そんならん子の言葉を、ぽん子が遮った。 「うちは嫌やで。そうやろう。一人の仕事が入ったからて、勝手にこまどり捨てて東京に行って、今度は東京が気に入らんからと帰って来るやなんて。こまどり娘はな、これかららん子と私の二人で再スタ-トしようて今誓ったばかりなんや。勝手なことをするお人に用はおませんねん」 ぽん子の厳しいセリフに、らん子はどうしようかと言葉も出なかった。 ぴん子もぼん子も、弟子修行から這い上がってキャリアを積んで来た芸人。まだ素人同然のらん子には入って行けない空気感であった。 ぴん子が、突然土下座をした。 「許してください!この通りです!私を元のメンバ-に戻してください!」 常に強がりばかり言っているぴん子が土下座までしたので、さすがにらん子も何とかしなければと、思った。 しかし、ぽん子の対応は厳しかった。 「そんなことしても、アカンもんはアカン!」 土下座しているぴん子の頭上から、ものすごい勢いで叫んだ。 らん子は思った。 考えれば、ぴん子とぽん子は本当のコンビであったのかも知れない。 互いに裏切らない・・・と信じて笑いの修行をして来た。 ところが、ぴん子が一人東京で売れて行く道を選んだことにより、ぽん子の心は乱れたのかも知れない。 ヤケクソのごとく、不幸せになると想像しつつも、ヘンリ-に身を委ねたのかもと思ったのである。 ぴん子が土下座をしたまま、暫く楽屋に緊張と沈黙の時が流れた。 誰も口出しできない。 そんな時であった。 「許したったら、ええやないか!」 全員が、その声の主の方を見ると、なんと「おまん」であった。 こまどり娘の存在を一番に潰そうと企んでいた「おまん」が現れたのであった。
戻って来たぽん子と、コンビで漫才を始めることを決意したらん子。
そんな矢先に、マネ-ジャ-の米沢が「仕事や」と、やって来た。 聞けば鳥取県の温泉ホテルに一ヶ月滞在してほしいとのこと。 「小さい温泉ホテルやけど、一応宴会場もあってな、女芸人をほしがっているのや」 らん子は嫌な予感がした。 「女芸人ほしがるて、そょっとして酒の相手もさせようという訳やないんでしょうね」 「それは行ってみんことにはわからんわ」 米沢は、顔を背けながら答えた。 自分の言葉に偽りがある時のクセであった。 女芸人が地方の余興先でホステスのように客の相手をさせられることはあるとは聞いていたし、キャバレ-歌手時代に客のテ-ブルによくつかされていたらん子は直感で察したのである。 「米沢さん、二人でここの舞台に立たせてもらうというのは?」 ぽん子が切り出したが、 「支配人にかけ合ってみてもええけど、まぁ無理やね」 と、そっけない返事が返って来た。 確かに「こまどり娘」は、東京に行ってしまったぴん子の話芸が中心。 そのぴん子抜きでは、笑楽座の舞台に上がることは難しいという判断である。 現に、らん子が一人で舞台に立ち、ポロポロになった時点で支配人からの信頼は無くなっていた。 「ぽん子、その温泉に行こう!そこで芸を磨いてまた戻って来たらええやんか」 らん子の強い説得に、ぽん子は渋々納得した。 芸人の余興には、いろんな種類の仕事がある。 身近なパ-ティに呼ばれる余興が多いが、昭和43年当時といえば、「大会」と呼ばれる余興があった。 寄席芸人がツア-のようにバスで移動し、約一週間かけて、各地のヘルスセンタ-等を転々とする余興で、これが一番ギャラもよかったようである。 それから今回のように地方の温泉ホテルに一ヶ月ほど滞在する余興。 この余興が芸人にとっては一番地力がつくと言われている。 というのも、客こそ変われども宴会場の係の人達は一ヶ月も同じ芸人のネタを見せられる。 そこで、向上心のある芸人は、そんな従業員を笑わせようと、新ネタ作りに励むのである。 今は亡き「Mrボ-ルド」さんは、別府の杉の井ホテルで、あの芸を生み出されたらしい。 あの芸というのは、客席から花を投げてもらい、その花がツルピカのボ-ルドさんの頭にピタリとくっつくという芸である。 みやげもの売り場で、お客さんがキ-ホルダ-を選んでいた横で、ショ-を終えたボ-ルドさんが、キ-ホルダ-の吸盤を頭にくっつけたところ、爆笑になったので、それを舞台でも取り上げたという逸話である。 らん子とぽん子が、鳥取県の温泉ホテルに行く決意をした時のことであった。 何やら楽屋口が騒々しい。 ぴん子が帰って来たというのである。
笑楽座の楽屋に全身ズブ濡れの状態で、突然ぽん子が現れた。
「ぽん子さん、どないしたの、その格好」 らん子が声をかけるが、ぽん子は楽屋の畳に伏せて号泣するばかりであった。 「ヘンリ-と、何かあったの?」 おそらくヘンリ-との間で何かしらのトラブルがあったと、らん子は予想した。 「グル-プサウンズで、デビュ-するから女は邪魔やて」 言い終わらないうちに、またぽん子は号泣を。 つまり、GSのメンバ-にスカウトされたヘンリ-は、ぽん子を捨てて上京してしまったようである。 「しゃあない奴やなぁ」 らん子が舌打ちをして呟いた。 「死のうと思うてな、うち淀川に飛び込んだんや」 「ええっ?」 「そやけど、プカプカ浮いてしもうて、気付いたら大阪湾まで流されてた」 肩を震わせながら泣いている大きなぽん子の背中に向かって、らん子が呟いた。 「ぽん子さん・・・あんたって、脂肪多いねんな」 「ウウッ!」 また、ぽん子が号泣をする。 「キャバレ-歌手の方は?」 「2日でクビになった」 「何かトラブルでも?」 「何もない。ただ私が歌い始めると客席から、おしぼりがいっぱい飛んで来ただけや」 「辛い目におうたなぁ。かわいそうに」 元々キャバレ-歌手だったらん子にとっては、キャバレ-で歌う辛さを身を持って知っていた。 店が忙しくて、ホステスが足りない状態になると、客はいらだって、歌っている歌手にあたる。 らん子も、突然ビ-ル瓶をステ-ジに向かって投げつけられたこともあった。 でも、ぽん子の場合は違ったようである。 クビになるということは、やはりぽん子自信の歌唱力とルックスに問題があったようだ。 「ぽん子さんは、根っからの寄席芸人や。なぁ、もう一回やり直そう」 「ええのんか?許してくれるんか?」 こうして、「こまどり娘」は二人で復活を誓うことになった。 らん子にしてみれば、どんないきさつであれ、自分の元カレを寝取った女であることには違いない。 でも、ズブ濡れで泣いている目の前のぽん子が哀れすぎた。 一人取り残されて行く場所もなくなった時は、自分が一番哀れであると思ってはいた。 でも、こうしてぽん子を見ていると、もっと哀れであると感じたのである。 そんなところに、マネ-ジャ-の米沢さんがやって来て、二人に仕事の依頼だという。 それがまたとんでもない仕事であった。 |
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