萩原芳樹のブログ
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「許したったら、ええやないか!」
突然姿を見せたおまんのその言葉に一同は驚いた。 「ぴん子をメンバ-に入れんかったら、あんた等鳥取の温泉行きやろ」 すでに情報は、おまんの耳に入っていたようである。 「こまどり娘は、らん子にぴん子にぽん子の3人が揃うてないと、こまどり娘やないのや。ケンカするのも結構。ネタでもめるのも結構。そやけど一度舞台に上がったら3人の力でお客さんを満足させるのがホンマのこまどりや!」 土下座していたぴん子が、思わず顔を上げた。 まさか、おまんの口からそんな言葉が発せられるとは夢にも思っていなかったからなのである。 「こまどり娘がここにいてくれんことにはな、私も新コンビを組んで何を目標にしたらええのか、わからんのや。な、許してやって」 さすがのぽん子も、おまんの言葉はグサリと来た。 「らん子、あんたはどうやねんな」 「私は・・・」 躊躇いながらも、らん子はきっぱりと言った。 「おまん姉さんのおっしゃること、その通りやと思います」 「そうか、わかった。ぴん子、頭を上げえな。どうしても、こまどり娘に戻って来たいのなら、呑んでもらわなアカン条件が一つある」 ぽん子が奇妙なことを言い出した。 「これからは、このらん子が、こまどり娘のリ-ダ-や。リ-ダ-のらん子に絶対服従すること。これが条件や」 「わかった!らん子がリ-ダ-なら、それでええ!」 ぽん子とぴん子のやりとりで、らん子がこまどり娘の新リ-ダ-になることが勝手に決まってしまい、らん子は驚くばかり。 「ちょっと!まだ素人同然の私がリ-ダ-て・・・」 「ようし、そうと決まったら、早速こまどり娘の舞台を久しぶりに見せてもらおうか。千吉、支配人ににかけ合うてな、こまどり娘が終結しました。すぐ出番を組んでくださいと頼んで来てんか。おまんがそう言うてるて」 「ハ~イ」 千吉は、支配人のところへ急いで行った。 「さあさ、こまどり娘はん、出番でっせ。舞台衣装に早く着替えて!」 おまんから、呷られるようにして、こまどり娘の3人は着替えに行く。 傍でその様子をずっと見守っていた落語家の笑遊が、おまんに声をかけた。 「おまんさん、あんたよう言うた。なんやかんやいうても同じ一門や。ホンマはこまどり娘のこと、心配してたんやな」 おまんは首を振り、 「今のセリフは私の口から出たセリフやありまへん。亡くなったおまん師匠が、私の体を借りて言いなはったのと違いますやろか」 そう言われても笑遊には、まだピンと来ない。 あれだけ自分を追い出したこまどり娘が憎いと言っていたのがウソのようであったからなのである。 そんなところへ、ジョ-ジが新聞を持ってやって来た。 「えらいこっちゃ!この記事見て。ヘンリ-が麻薬で捕まったて新聞に出てるわ。らん子はどこや?」 「そんなもん、今見せたらアカン。この大事な時に」 「大事な時て?」 「こまどり娘がな、復活するのや」 こまどり娘の3人が、いつものそろいの派手な衣装に着替えて来た。 いよいよ久しぶりの舞台である。 「お先に勉強させていただきます!」 こまどり娘の3人が、楽屋のメンバ-に深々と頭を下げて舞台へと向かって行く。 特に、おまんには3人とも丁寧なお辞儀をして行った。 こうして「こまどり娘」は無事復活できて寄席の舞台に戻れることになったのであった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 以上が、一昨年1月公演致しました「女芸人らん子のブル-ス」第一話です。 内容は、かなり勝手に省略してまいりましたが、ひき続いて5月に公演した「女芸人らん子のブル-ス2」を綴って行きたいと思っております。 時代は、それから4年後、昭和47年に移ります。 麻薬で逮捕されたヘンリ-がそれからどうなったのか、また、らん子がどんな女芸人として成長して行くのか・・・お楽しみに! PR |
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