萩原芳樹のブログ
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ヘンリ-は、笑楽座のすぐ傍にある「キャバレ-女の城」のギダ-弾きである。
そもそも笑楽座にキャバレ-歌手であった「愛川ネネ」を連れて遊びに来たのは、暇つぶしに楽屋でバクチをしようと立ち寄っただけのことであった。 何故キャバレ-のギダ-弾きであるヘンリ-が、寄席の楽屋に自由に出入りできるのか。それはヘンリ-が元々寄席芸人であったからなのだ。 ヘンリ-は「スカタンボ-イズ」というコミックバンドの一員であった。 「スカタンボ-イズ」は、その名の通り舞台ではスカタンの連続。 つまり余り客にウケないコミックバンドだった。 「もっとシャベクリのネタを増やそう」という他のメンバ-に対して、ヘンリ-は一人反対意見で常に衝突していた。 「コミックバンドゆえに、もっと演奏をしっかりやろうやないか。音楽的に凄かったら、わずかのオチでも爆笑になる筈や!」 ヘンリ-は、ただ一人そんな主張をして、ヘンリ-が持ち込むネタとは、「カリプソ」のアレンジであったり「R&B」や「ロカビリ-」のアレンジネタ。 当時の笑楽座は浪曲を聴きに来たりする寄席ファンが多かった。 そんな客に「R&B」のアレンジネタをやってみても、客は何のことだが理解できずに口をポッカ~ンを開けたままであったらしい。 実際、昭和43年当時といえば、東京のコミックバンドと、大阪のコミックバンドでは、随分と温度差があったものだ。 大阪では、「横山ホットブラザ-ズ」「あひる艦隊」などが人気バンドで、漫才風のやりとりに音楽が挟まれ、使用楽曲も歌謡曲中心であった。 それに比べて東京では「ドンキ-カルテット」「ダスタ-ポット」といった音楽レベルの高いバンドが人気となっていた。 使用楽曲も「カリプソ」などの洋楽が多かった。 ヘンリ-は、東京のシャレたコミックバンドに憧れていたのであろう。 しかし、笑楽座の客とのギャップが大きすぎた。 そんな訳で結局スカタンボ-イズは解散する。 そして、ヘンリ-は、キャバレ-のギタ-弾きに転向したのであった。 しかし、キャバレ-のバンドメンバ-になっても、またメンバ-とは上手くやって行くことができなかったヘンリ-。 ショ-の歌手のバックで演奏しているのに、ついつい前に出てしまうのである。 歌手がワンコ-ラスを終わり、間奏に入ると、ヘンリ-は「ここぞ」とばかりにステ-ジの前に出て、歌手以上に目立とうとする。 ショ-の歌手から当然クレ-ムが出る。 結局ヘンリ-は、バンドを首になってしまうのである。 バンドを首になったヘンリ-は、キャバレ-のホステスのスカウト業を勝手に始めることになる。 (この辺りからは、先日公演の「キャバレ-哀歌」のお話) 工場から逃げ出して来た二人の女工をホステスとしてスカウトする。 その一人が「らん子」となるネネであった。 最初はもう一人の女工(妙子)と同棲していたが、 「ホステスの給料ばっかりあてにして、ろくに働かん男は最低や」 と、あっさり捨てられてしまう。 路頭に迷ったヘンリ-は、路上で「ニセ傷痍軍人」をしたりしていた。 そんなところに通りがかったネネ(らん子)は、哀れに思い、自分の部屋へと連れて行く。 そこから二人の同棲生活が始まり、ヘンリ-はやがて元のギタ-弾きに復帰でき、ネネ(らん子)は、憧れのキャバレ-歌手としてステ-ジに立つことができたのである。 一見幸せそうな二人のそんな生活にヒビが入ろうとしていた。 それは、ネネ(らん子)が、二代目柳流亭らん子となり、女芸人の道を歩もうとしたことからであった。 「ネネ、キャバレ-に戻るぞ!」 無理矢理らん子の手を引いて連れて行こうとするヘンリ-。 「嫌や!」 と、らん子は、その手をふりほどく。 「何を言うてんねん、ネネ!」 また力任せに、らん子を連れて行こうとする。 小柄なぴん子が、その手を断ち切った。 「何をしてくれるんや!ここにいるのはな、キャバレ-歌手のネネなんかやない!二代目柳流亭らん子さんや!」 「二代目柳流亭らん子?」 ヘンリ-は、その名を聞いて驚きの余りに固まってしまった。 PR |
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