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萩原芳樹のブログ
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「松の木、甚兵衛」は、木を主人公にした擬人法のお話でしたが、木は本当に喋るということをご存じでしょうか?

以前、樹医さんに聞いたのですが、木に耳を当てると木の声が聞こえて来るそうです。

京都の「桜守り」で有名な、佐野籐右衛門さんによると、桜は誉めてあげれば立派な花を咲かせると。
墓場で枯れ木のようになっていた桜の木を、人通りの多い場所に植え替えてやると、見事に蘇ったそうです。
木って、本当に生きているんですね。

こんな偉そうなことを言ってる私だが、先日自宅の庭のオリ-ブの木を切ってしまった。
5年前、小豆島に行った時、衝動買いした小さなオリ-ブの木を庭に植えたところ、どんどん育って行き、庭の主のような大きい木に成長してしまった。

この春、初めて白い花を咲かせたのだが、オリ-ブに実をつけられるような肥料を与えてなかったので、無理だと思っていた。

私は、その二本のオリ-ブの木の枝を少し切って、形を整えようとした。
ところがである。
右の枝を切ったら、左の枝が伸びすぎていると思って切る。
今度は、逆の枝が伸びすぎていると感じる。
そんなこんなで、結局2mものオリ-ブの木が、1mの幹だけの姿になってしまった。

「ええいっ!ついでや。全部切ってしまえ!」
勢い余った私は、二本のオリ-ブの木を、根元から切ってしまったのである。

その時、オリ-ブの木から、とても悲しい叫び声が聞こえて来たような気がした。
「助けて!ポパ~イ!」
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「松の木、甚兵衛」は、ついにトイレットペ-パ-に、その姿を変えられてしまった。
幼い頃から、大好きだった山の婆ちゃんに「木が紙にされたら、それが最後だということよ」
と、よく教えられたので、覚悟は出来ていた。

甚兵衛のトイレットペ-パ-は、山の手の高級住宅の家に買われて行った。
納戸に積み上げられたトイレットペ-パ-の山の一角となり、自分の最期を待つ甚兵衛。

そして、ついに最後の時が来た。
見るからに上品な奥さんが、甚兵衛をトイレに運んで行ってセットした。

「ああ、僕の一生もこれで終わりか・・・」と、思っていた時である。
「甚兵衛!甚兵衛じゃないか」
どこかから、声が聞こえて来た。
「俺だよ。杉の木弥太郎だよ。覚えているだろう?ホラ、故郷の山で一緒だった・・・」
「杉の木弥太郎君?」
甚兵衛は、その声の主を探した。

「ここだよ、ここ」
なんと、杉の木弥太郎は、トイレの柱になっていた。

「弥太郎君・・・こんな所に。立派な家の大黒柱になったのではなかったの?」
「ウウン、最初はそのつもりだったらしいけど、僕よりももっと立派な木があって、そいつを大黒柱に使うことになり、僕はこのザマさ」
「そうだったのか・・・」
「僕さ、人間社会でもっとチヤホヤされると勝手に思っていたけど、結局は人間のお尻ばかり見せられてる毎日。山を出て、人間のお尻ばかりを見せられて一生終わるのかと思ったら、情けなくってね。こんなことが、あと何年続くんだろうね。甚兵衛くん、君は今まで何してたの?」

甚兵衛は、杉の木弥太郎に、これまでのことを全て話した。
「エロ本」になったこと。
新聞になって、人間のことを、もっと深く知ったこと等々。

「へぇ~。甚兵衛くんがうらやましいなぁ。そんな風に人間社会を色々と見て来られて」
「そうかなぁ。でも、僕はもうおしまいだよ。こんなことなら、山で一生素朴な松の木でいた方が良かったなぁと思う時もあるよ」
「いや違う!君は人間社会の裏を散々見れて来られた。うらやましい限りだよ。僕なんかな、こうやってずと人間のお尻ばっかりを見せられて・・・」

そんな会話を続いているうちに、足音が近付いて来た。
「杉の木弥太郎くん、もう、お別れだね」
「甚兵衛くん・・・」
「弥太郎くん、君の言うように僕はやっぱり幸せだったのかも知れない。松の一生としては短かったけどね」

トイレのドアが開いた。
甚兵衛と弥太郎との会話は、そこで終わった。

トイレに入って来た主が、用をたしていた時、少し柱がきしんだような気がしたのは、気のせいだったのだろうか・・・。
       ~完~

今から30年も昔に構想した物語です。
当時、プロの作家でもなかった私が、何を考えてこんな物語を作ってしまったのでしょうかね・・・。
「松の木、甚兵衛」は、その姿を新聞に変えられていた。

早朝、新聞配達の少年の手によって、とある一軒家に。
甚兵衛は「ご苦労様」と、一声かけたかった。

「エロ本」iされた時は、人間は最低の生き物だと思っていた。
しかし、こんな早朝から働く少年がいる。
人間社会も様々だなぁと改めて実感した。

甚兵衛の新聞は、その家の朝食の主人公でもあった。
食事の支度をしている奥さんが、
「あなた、その新聞見て。また物価が上がるらしいわよ。不景気も続くらしいし。この家のロ-ンで精一杯なのに」
朝から凄い勢いで、甚兵衛を指指して怒っていた。

それに対し主人は新聞を開くと、
「おおっ!阪神久しぶりに勝ってるやないか。昨夜飲みに行くの断ってナイタ-見るべきやった」と。

「あんた!阪神が勝ったってウチの暮らしは全然よくならないのよ!」
「けど、阪神がなぁ・・・」
「どうでもいいの!阪神なんか」

朝から甚兵衛の新聞をはさんでケンカしている夫婦を見て、甚兵衛は思った。
「生き物の中で、人間のツガイが一番仲が悪いのではないか」と。

その後、甚兵衛達古新聞は、束にされて縛られた。
そして「毎度お馴染みの・・・」というちり紙交換の声と共に、ちり紙交換に出された。

甚兵衛達と交換してトイレットペ-パ-を手にした奥さんは、満足げだった。
しかし、甚兵衛は交換されたトイレットペ-パ-を見て思った。

「紙にされた者は、トイレットペ-パ-にされたら、それがおしまいよ」
山の婆ちゃんに、よくそう聞かされたことを思い出した。
「あいつ等の運命も、もう終わりか」
そう思って、トイレットペ-パ-達を、哀れな目で見送った。

この時、自分もまさかすぐに同じ運命になるとは想像もしていなかったのである。
        ~つづく~


このまま終わりかなと思っていた時に、小学生に拾われた「エロ本になった甚平」

ホッとしたやら、情けないやら、腹立たしいやら・・・自分でも気持ちの整理がつかない状態。

その小学生は、興味津々に甚平のエロ本に、食い入るように見始めた。
と、その時「吉田くん、そんなところで何してるの?」
小学生の女軍団が現れた。

吉田君と呼ばれた甚兵衛をを拾った小学生は、慌てて甚平のエロ本を放り出して逃げた。

小学生の女軍団が、甚平のエロ本に気付いた。
「吉田くん、エロイ!こんなモノ見てたのかしら」
「汚いから、捨てましょう」
「いいえ、これは今度の廃品回収に出しましょう」

結局、甚平のエロ本は暫くして廃品回収に出された。

そして、今度は新聞紙に甚平は、生まれ変わってしまったのであった。
     ~続く~
「松の木、甚平」は、姿を変えられてしまった。
紙にされ、雑誌になってしまったのであった。

雑誌といっても、一般の週刊誌ではなく、ビニ-ルで閉じられた「エロ本」にされてしまったのである。

「屈辱的だなぁ、よりによってエロ本にされるなんて・・・。人間のバカヤロ!」
甚平は、腹が立ったが何もすることはできない。

うさん臭い書店の片隅に、甚平のエロ本は並べられた。
書店に並べられて、一週間で甚平のエロ本は、買われて行った。
眼鏡をかけた陰気そうな中年のオッサンだった。

オッサンはどうやら結婚していて、子供もいるらしく普通の中流家庭のようだった。
しかし、オッサンは甚平のエロ本を、こっそりと家族に見つからないようにして、深夜に一人見ては興奮していた。

甚平は男である。
木は男と女に別れている。(このことを知らない人も多いが、木を二本植えるというのは、そんな意味もある。二本植えたら、どちらかが雄になり、雌になるらしいです)

男の甚平にとって、人間のオッサンのオナニ-を見ることは耐え難いものがあった。

そして、一ヶ月経ったある日のこと、オッサンは甚平のエロ本を持って出かけた。
「どこへ連れて行くつもりだろう?」

連れて行かれた場所は、町はずれの小さな神社だった。
オッサンは、周囲を見渡して、甚平のエロ本をポ~ンと、神社の裏の茂みに捨てたのである。

「何すんねん!オッサン!」
甚平は、余りにも情けなかった。
こんなことなら、故郷の山で何事もなく一生過ごした方が、ずっとましだった。

「このまま雨風に打たれて、ボロボロになって終わってしまうのかなぁ」
甚平は、故郷の同級生の「杉の木、弥太郎」のことを思った。
「あいつは今頃、立派な柱ですね・・・なんて言われているに違いない」

神社の裏の茂みに捨てられた甚平のエロ本は、日が経つにれ、ボロボロになって来ていた。

ところが、そんな甚平のエロ本に手を差し伸べた人物がいたのである。
どう見ても小学生だった。
「こいつ!小学生のくせにどういうつもりや?」

果たして、甚平の運命はこれからどうなるのだろうか・・・。
暫くの間、このブログをサボって申し訳ありませんでした。

さて、今回から綴ろうと思っておりますのは、私が作家になる以前に作った物語です。
当時8ミリ作品にする予定でしたが、そんな余裕もなくオクラ入りした物語です。

(物語)
「松の木、甚兵衛」は、その山の中でも際だって醜い形の松であった。
人間の居住地に生息している松の木は、人間の手によって美しい形にされる。
しかし、山の中に自然に生えている松は違う。

「あ~あ、僕なんぞは所詮どうしようもない一生になるんだ」
松の木甚兵衛は、自分の醜さにふてくされていた。
「このまま、この山の中で一生過ごすことになるのかな。つまらない松の一生だ、全く」

そんなある日、甚兵衛の同級生である「杉の木、弥太郎」が、切られて行った。
「杉の木、弥太郎君は立派な杉だったので、どこかの豪邸の柱に就職先が決まったらしいわよ」
近所のオバサン木々が、そんな噂をしていた。

甚平がヤケになっいた時のことであった。
ある日突然、キコリのオジサンが来て、甚平を切り始めたのである。

「痛いっ!何すんだよ!僕をどうしようというんだよ!」
松の木甚兵衛は、切られてトラックに乗せられた。
そして、製紙工場へと運ばれて行く。

「ええっ?僕・・・いきなり紙にされるのかよ!確かに醜いけど松として認めてくれてもいいじゃないか!」

甚平は、大好きだった婆ちゃんの言葉を思い出していた。
「木の運命はな、紙にされたらおしまいよ。粉々にされて、姿形も変えられてしまう」

そして、甚平は紙にされてしまったのだが・・・
           ~続く~


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