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萩原芳樹のブログ
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俊市郎が、大阪に引っ越しをして登校拒否になったことは知らなかった。
しかし、転校して暫くして、俊市郎のご両親から電話があった。

「芳樹さん、悪いけど一寸来てくれる?」
聞けば、姫路の元の家に帰って来ているらしい。
何だかわからないが、とりあえず自転車で彼の家に向かった。

そこには大阪大学で心理学を教えているという人がいて、俊市郎に催眠術をかけようとしたところ、どうしても俊市郎が嫌がるので、私を呼んだという訳らしい。

「芳樹さん、あんたが催眠術してもらったら、うちの子も催眠術にかけてもらえることになると思うので、お願い」
美人のお母さんが私にすがるように言って来た。

私は、すんなり催眠術にかけてもらうことにした。
不思議な世界だった。
暗示をどんどんかけられる。
そのことに反発心を抱いては、催眠術にはかからない。
大阪大学の教授という肩書きもあって、私はすんなりと暗示にかけられた。

その後、私を見た俊市郎も嫌がっていた催眠術をかけてもらっていた。
つまり、俊市郎のご両親は、登校拒否に悩み、催眠術で何とかしようとしていたのであった。
私のやることなら何でもやると信じてくれていた俊市郎のご両親。
転勤で大阪に転校することは仕方のないことかも知れないが、そんなことで家族が凄い苦労をしている・・・。
正直、気の毒になった。

でも、催眠術をかけられても俊市郎の登校拒否は治らないようであった。
考えてみれば、姫路の田舎から、突然大阪の玉出への引っ越し。
カルチャ-ショックも、かなりあったのだろう。

私は、そんな俊市郎を放ってはおけなかった。
そして私の選んだ手段は、そんな俊市郎と文通をすることだった。

最初は、手紙のやりとりだった。
ところが、二人の出会いでもあったテ-プレコ-ダ-の文通に発展して行く。




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