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萩原芳樹のブログ
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「キャバレ-哀歌」の劇中に、子供の頃の話が出て来ます。
昭和42年の芝居で、その登場人物の子供時代となると、昭和30年前後の話になります。

まだTVが普及していない時代、「紙芝居のおっちゃん」は、子供達の人気者でした。
毎日夕方になると近所の空き地にやって来て、まずは拍子木で「紙芝居のおっちゃんが来たでぇ!」とばかりに子供達に合図を送ります。

子供達は、我先にと10円玉を握りしめて、紙芝居を見に空き地に集まって来ます。

手にした10円を紙芝居のおっちゃんに渡すと、おっちゃんは紙芝居の台の薄汚れた木の引き出しに入った「サッカリン」だらけの訳のわからないお菓子を「ハイよ」と、手渡します。

つまり、その10円が紙芝居を見る為の入場料のようなものです。
子供達は、サッカリンだらけの駄菓子をパクつきながら、おっちゃんの紙芝居に食いつきます。

私も幼い頃だったので、記憶は確かではないのですが、紙芝居の内容は何だか意味不明のヒ-ロ-ものが多かったような気がします。
そして、一話完結ではなく、おっちゃんは「続きは、また明日!」と、さっさと帰ってしまうのです。

そんな紙芝居に「ただ見する子」の存在がありました。
おそらく小遣いの10円を親からもらえず、でも紙芝居は見たい。
そこで、電柱の影からこっそりと見ていたりしていたのでしょう。

「おっちゃん、あいつタダ見してるで!」
10円払った子供達は集団になって、タダ見している子のことを、紙芝居のおっちゃんにチクります。
すると、「タダ見はゆるさん!あっちへ行け!」
と、紙芝居のおっちゃんは、タダ見していた子供を追い払うのです。

こんな昭和のエピソ-ドも、今回の劇中に出てまいります。
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