萩原芳樹のブログ
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ヨンちゃんは小学2年から珠算を習っていた。
しかし、ことあるごとにサボッていた。 ヨンちゃんは手先を使った細かい作業が苦手であった。 ゆえに、指先で算盤をはじいているとイライラしたりする。 そんな訳で算盤は嫌いだったが、暗算だけは得意とした。 面倒くさい算盤を使わなくて良いからである。 ヨンちゃんが6年の時に「姫路市」の珠算大会があった。 ヨンちゃんは珠算塾を代表して大会に出ることになった。 サボッてばかりだったが2級で、塾の中ではトップクラス(2年から長く習っているだけのことだが)なので代表に選ばれたらしい。 昭和39年8月2日。 つまり、ヨンちゃんの誕生日であり、初めて自分の干支の辰年の誕生日を迎えた日でもあった。 「運命の日・・・奇跡が起るのでは?」 ヨンちゃんは、そんな予感がチラリとした。 ところが本当に奇跡は起ったのである。 ヨンちゃんが得意とする「暗算」の部門でのことだった。 「♪ねがいまして~は・・・」と、数字を読み上げられて合計金額を当てる。 間違った者は次々と脱落して席を立たなくてはならないシステム。 ヨンちゃんは2級だったので、二桁程度なら自信はあった。 百人程いた席が、どんどん減って行く。 残り20人程度になった。 暗算の問題は更に難しくなり、三桁の暗算になって行った。 三桁の暗算は、全く未知の世界だったヨンちゃん。 ところが次々と正解してしまうのである。 暗算は頭の中に描いた算盤が勝手にはじいてくれる。 三桁の暗算となれば、その頭の中の算盤がボンヤリしてしまったりするものだが、この日のヨンちゃんの頭の中の算盤は非常に鮮明であった。 残り10人を割ってしまった。 隣りの子に話かけてみた。 「君、何級?」と。 すると「二段です」と。 ヨンちゃんが二級であることを告げると、「ええっ?二級の子がここまで残っているの?」と、驚いていた。 残っている子は、ほとんどが段持ちらしい。 が、またまた正解を続けてしまうヨンちゃん。 ついに最後3人に絞られた。 ここで問題は更にアップして四桁の暗算になった。 さすが四桁はヨンちゃんの頭の中の算盤もあいまいになってしまい、ここで脱落してしまった。 結果は三位。 ヨンちゃんは、この時感じた。 「物事は集中すれば実力以上の力が発揮できるものだ」と。 数日後、新聞の地方欄にヨンちゃんの名前が掲載されていた。 珠算大会の結果報告の記事である。 勿論ヨンちゃんの名前が新聞に出たのは、この時が生まれて初めてのことだった。 ヨンちゃんの両親は喜んでヨンちゃんを呼び、 「芳樹、ここに書いてあるのは誰の名前や?声を出して読んでみ」と。 ヨンちゃんは、この時自分の部屋で好きな女の子のことばかり考えていた。 だからである。「????子」と、なんとその女の子の名前を口にしてしまったのであった。 思わず固まってしまった両親。 その後ヨンちゃんは珠算を辞めるが、暗算はその頃のなごりで得意であった。 しかし、「数字で物事を判断するなや!」という子になって行く。 PR |
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