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萩原芳樹のブログ
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ヨンちゃんが6年の時、東京~新大阪間で新幹線が開通した。
当時「夢の超特急」とも呼ばれていた。

この「夢の超特急」に、ヨンちゃんは誰よりも早く乗れることになった。
というのも、ヨンちゃんのお父さんが国鉄職員(今のJR)だったので、試運転の新幹線に特別に乗せてもらえることになったのである。

ヨンちゃんは日本を代表する施設に、一般客よりも常に先取りできる運命でもあった。
「東京ディズニ-ランド」ができた時には、地元の浦安市民だけのプレオ-プンで無料招待をしてもらった。(ヨンちゃんは、この頃浦安市民)

そして「関西空港」にも、開港特番の仕事を受けたので、内々に施設を見ることができた。

誰よりも早く乗った新幹線・・・。
でも、まだその時は、この新幹線で自分の人生の岐路が待ち受けているとは勿論予想もしていなかったヨンちゃん。

吉本での「B&B」の仕事に穴を開けて、不安と期待で東京に向かったのも、新幹線だった。
そして、父の突然死を聞いて、故郷の姫路に涙ながら帰って行ったのも新幹線。
また結婚が決まり、仲人さんと一緒に大きな結納品を東京まで持って行ったのも新幹線。
放送作家の仕事が多忙となり、週に東京~大阪を二往復したのも新幹線。
その頃は、新幹線の席が一番落ち着く「我が家」のような存在でもあった。

ところがヨンちゃんが初めて乗った新幹線でヨンちゃんは涙するという事件があった。
それは車内で食べる為の「ウナギ弁当」を買ってもらった時のこと。
ヨンちゃんは「ウナギ弁当」なるものを食べるのは、この時生まれて初めてのことであった。

弁当を開いて食べようとした、その瞬間であった。
列車が大きく揺れて「ウナギ弁当」は、無残にも床に落ちてしまったのである。
「ホラ、ちゃんと持ってないからやがな」
ヨンちゃんの両親は、床に落ちた「ウナギ弁当」を眺めて涙ぐんでいるヨンちゃんに注意した。
「お父さんの食べ」
「お母さんの食べ」
慰められたが、ヨンちゃんは何故か意地を張って「ウナギ弁当」のことをあきらめた。

そんな出来事がトラウマなのか、ヨンちゃんは新幹線に乗る時だけ、よく「ウナギ弁当」を好んで食べる。
人生の悲しみや、不安や希望や脱力感など・・・。
ヨンちゃんの人生は新幹線の「ウナギ弁当」だけが知っているのかも知れない。
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