萩原芳樹のブログ
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第一回の「R-1」予選で驚いたのは、東京には無名の「ピン芸人」が、いかに多かったかということであった。
そんな中で、「南野やじ」さんはダントツだった。 木魚を置いて何を始めるのかと思いきや、四文字熟語をお経調に唱え始めた。 最初見たのは、自分の出身地である長崎県の自虐ネタだった。 その後、「サザエさん」「ドラエもん」等、多種に及んで彼は四文字熟語のワ-ルドをお経スタイルで披露する。 一回大会は、完全に彼の優勝かと思えた。 しかし、審査員の同点決勝で、彼は優勝を逃した。 翌年も決勝に残るも敗退。 3年目のことだった。 準決勝で爆笑であったのにもかかわらず、彼は決勝に進めなかった。 発表の後、涙ぐんでいた彼の姿を遠くから見ていた。 楽屋の裏で、彼は誰かと電話していた。 「落ちました・・・もういいです。これで、芸人やめる決心がつきました」 大変なことだ。 あれだけの素晴らしい芸と、発想力を持つ彼が辞めようとしている。 私は、廊下の隅で電話を終えて来る彼を待った。 「惜しかったなぁ。俺が審査員なら、きっと決勝に進めていたと思うよ(この年から私は審査員の座を剥奪されている)来年また挑戦してよ。きっとだよ!」 涙ぐんでいた彼は、私に握手を求めて来た。 それから5年の年月が流れた。 彼はその後「R-1」では、予選敗退組になってしまっていた。 ところが今年、準決勝まで勝ち進んだ。 審査結果を聞いてみると、決勝&サバイバルにギリギリのところでアウトとなってしまったようである。 「やじさん、頑張ってよ。あんたのネタ作りに関する努力は、誰よりも理解しているつもりですよ」 私が言うと、 「お経スタイルは、もう封印します。来年、また新たな『南野やじ』になって戻って来ます」 別れ際、彼はそう強く語ってくれた。 そんな訳で、あの「南野やじ」のお経ネタは、もう見られなくなってしまった。 残念・・・。 でも、生まれ変わる「やじ」さんに大いに期待しよう。 PR |
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