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萩原芳樹のブログ
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我々ABCスタッフを乗せた小型チャ-タ-機は、タヒチ島を出発して、一路「タカロア島」へと向かっていた。

暫くは上空から見る下界の景色は、ただ南太平洋の海が広がるばかりであった。

ツアモツ諸島が近づいて来た。
島の姿が、上空からうかがえる。
見たこともない島の形であった。

まるで「浮き輪」のような島ばかりなのである。
つまり、内海といって、大きな湖状態の海が島の中を占領して、陸といえば、100メ-トルもない幅で輪が出来ている。

内海は見事なエメラルドグリ-ンで、外海は紺色の海だ。
この美しい内海が、黒真珠の養殖に適していた環境であることを、私はまだ知らない。

「まもなくタカロア島ですよ」
案内役の横溝さんが教えてくれた。
見れば、同じような浮き輪の島である。

上空から、小さな集落らしきモノが見えた。
島唯一の村であるらしい。

チャ-タ-機は、どんどん低空飛行を始める。
しかし、前方に空港らしき姿もない。
ヤシの木の間に広がった大きな広場にチャ-タ-機は、着陸した。

「?・・・これが空港?」
地面を見れば、コンクリ-トではなく、石ジャリである。
それにしても周囲には建物らしきモノもない。

着陸して停止した時、やっと空港タ-ミナルらしき姿を発見した。
茅葺きで出来た休憩所のような所で、椅子がやっとあるのみ。

チャ-タ-機を降りると、この小屋に中にいた人たち数十人が、こちらへと来る。
「チャ-タ-機なのに、乗るつもりか?」
そうではなかった。
すでに情報が入っていて、我々が来るのが珍しいのか、チャ-タ-機を見るのが珍しいのか、とにかく周囲に集まって来る。

子供が沢山いた。
女の子は、みんなかわいい。
というのも、この辺りは「タヒチアン」とフランス人との混血が多いので、どこかエキゾチックな風貌をみんなしているのだ。

「ジャポネ!ジャポネ!」
子供達が、嬉しそうに叫び始めた。
みんな日本人が大好きらしい。

それもそうである。
この島の産業といえば、ヤシしかなかった時代が長かった。
そこに、横溝さんの真珠養殖成功のおかげで、島の人たちの大半は、真珠養殖のお手伝い。
それで島がうるおっている訳だから歓迎される訳だ。

集まって来た人達の足元を見て驚いた。
全員が素足である。
その足をよくよく見ると、みんな蚊に刺された大きな痕が残っている。
早速、私も蚊にやられた。
とにかく蚊が異常に多いようだ。

「どうぞ、乗ってください」
と、我々は軽トラの荷台に乗せられて出発。

それにしても、360度見事な眺めであった。
ヤシの木と、エメラルドグリ-ンの海。
ただただそれだけしかない。

「遠い南国の離島に単身赴任。さぞ寂しいことだろうなぁ」
と、予測して来たのだが、こんな天国のような島だとは思わなかった。
四国から来た二人は、さぞ元気いっぱいなのだろうなぁ・・・そう思っていたが、いざ会ってみると、全く違っていた。
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