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萩原芳樹のブログ
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鶴橋の二畳で門限のある生活に比べると、玉出の四畳半暮らしは快適だった。
朝、好きな時間に起きる。(ほとんど大学には行ってなかった)
アパ-ト隣りの「ヤマザキパン」で、食パンとチェリオを買う。
そして、ネタ作り。
毎週土曜日には、7分程度の新ネタを披露しなければならないのだ。

毎週のネタは、ぎりぎりの金曜日まで迫っても、なかなか満足できる状態ではなく、金曜の深夜に、友達の「俊市郎」のマンションの屋上で声を出して稽古していた。

でも、一週間かけて作った「ヤンタン」の前説ネタは、ほとんどウケない状態だった。
アマチュア時代は、あれだけ爆笑を取れたのに、ブロに転向したことで世間の目が変わったのか、全くウケなくなってしまっていた。

毎日放送のディレクタ-は、それでも決してNGは出さずに、ガマンして使ってくれた。毎回、感想もいただきながら・・・。

前説のギャラとして、交通費という名目で毎回3千円いただいていた。
これが当時の生活費だった。
勿論、現役の大学生だったので親からも仕送りを受けていたが、家賃を払って、残りは遊んですぐに使ってしまっていた。

当時の私は、金曜が勝負の日であった。
勿論ネタを完成させなければならない日でもある。
しかし、金曜の朝には、私の財布にはほとんど金が残ってなかった。
「明日になれば3千円入る」というので、ぎりぎりまで使ってしまっていたのだ。

金曜の夕方、ネタ作りもそこそこに、よく近所のパチンコ屋に出かけた。
財布に残った最後の300円(翌日MBSに行く交通費は別として)

ネタがすでに完成していた時は、本気で勝負に挑んだ。
「300円が、千円に化ければトンカツが食べれてビ-ルも飲める。しかし、ゼロになったらストックのチキンラ-メン食べて寝るしかない」

300円で買ったパチンコ玉を握りしめて、真剣に台を選ぶ。
「天釘」「肩の釘」「足の釘」全てを入念にチェックして、いざ本番。

チュ-リップは、なかなか開かない。
残りの玉が、どんどん減ってしまう。
トンカツとビ-ルの夢が幻のように遠ざかって行く。
そして、最後の一球が見事に「天」に入り、チュ-リップが開いた!
しかし、出て来た15個は全てチュ-リップをさすめたまま空振り。
「ああ!チュ-リップ開いたままなのに」と、落胆した時、床に落ちていたパチンコ玉を発見。
早速、一球入魂で打ってみる。
チュ-リップに命中!

その後、調子が出て、玉が出ること、出ること。
結局3千円も勝ったので、トンカツとビ-ルに加えて、近所のスナックにまで足をのばしてしまった。

翌日のネタは、ボロボロだったのを記憶している。
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