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萩原芳樹のブログ
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寛太寛大さんの話を続けます。

寄席という場所は、お客さんが「笑いたい」と木戸銭を払って見に来てくれているところ。
多少下手な漫才でも、お客さんはあたたかく見守ってくださいます。

反面、「笑う気がない客」の前で漫才するのは大変です。

寛太寛大さんは、松竹新喜劇をやめ、上京し渋谷のストリップ劇場で修業を積まれます。
「道頓堀劇場」というストリップ小屋で、あのコント赤信号が後に修業していた劇場です。

客は女性の裸を見たいと思って来ているのに、合間に登場する漫才コンビ。
「早う引っ込んで、次のストリッパ-出せ!」と、誰もがそう思うでしょう。
そんな客相手に漫才の腕を磨かれたのですから、本物です。

お二人は、やがて名古屋の大須演芸場で、いとしこいし先生で出逢うことになり、「君等なんで大阪で漫才せんのや?もったいないやないか」と勧められ、トップホットシアタ-の舞台を踏まれるようになったと聞きます。

寛大さんの、独特のタメ芸は、厳しいストリップ劇場で完成されたのですね。

取材をした時、寛大さんが面白いエピソ-ドを語ってくださったので、そのお話をしましょう。
ご存じの方も多いかも知れませんが
「ちょっと待ってネ!てっちり事件」です。

当時、寛大さんは長居で居酒屋を経営されていて、フグ調理師免許をも所得された方です。
店には「てっちり始めました」と表示し、てっちりの注文を待ち続けておられましたが、なかなか注文してくれる客はいません。
寛大さんが調理したフグを食べるのが恐ろしかったのでしょうか?どうかは知りませんが、毎日仕入れたフグが残ってしまい、閉店後に家族で食べるしかありません。

「どうしよう・・・かといって、今更てっちりやめましたもシャクやしなぁ」
と、その時、寛大さんはある方法を思いつきます。
隣りの駅前にフグ専門店があり、1980円でテイクアウトでセットを売っているのです。
「そうや!てっちり注文する客が来たら、その1980円のフグセット買うて来て、そのまま出して2980円で売ったろ。確実に損せんと儲かるがな」

それからというもの、客からてっちりの注文を受けると、「ちょっと待ってネ」と、車を飛ばしてフグ専門店へ。
テイクアウトのセットを皿に盛りつけるだけで完了です。

全ては順調に運んでいた時のことでした。
いつものようにフグ専門店に行くと、店主が「寛大さん、あんた本当にフグ好きでんねんな。どれだけフグ食べますのや」
寛大さんは返す言葉もありません。
「そうや、寛大さん、聞いたのやけど、あんた居酒屋やってはるらしいな。今度食べに行かせてもらうわ」と。

そして、フグ専門店の主人が寛大さんの店にやって来ました。
「今日は店定休日やから、ゆっくり食べさせてもらいますわ」と、フグ屋の主人。
メニュ-を見て、「へえ、てっちりやってはりますのんか?ほな、てっちり食べさせてもらいますわ」
すると、寛大さんはこう答えたのです。
「今日はてっちり・・・できないんですわ」
「何で?」
「仕入れができんもんで」

よく出来た話ですが、実話だそうです。
ホントにひょうひょうとすっとぼけた寛大さんのキャラクタ-ならではのエピソ-ドと思って、ここに綴ってしまいました。
寛大さん、すんません。勝手にネタ使わせてもらいまして・・・。

さて京橋花月3月公演「お茶子のブル-ス」の予告をかねて、登場人物や時代背景をボチボチ書いて行きたいのですが、もう少し「昭和の芸人さん伝説」続けましょうか?
「この人」というリクエストがあったらコメントに書いてください。
私なりに知ってる限りのことを述べたいと思いますので・・・。
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