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萩原芳樹のブログ
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ヨンちゃんは、小学校の先生の子である。
その点で普通の子とは随分違った経験もして来た。

ヨンちゃんのお母さんが、テストの採点で追われていた日のこと。
ヨンちゃんは、お母さんの手伝いをしたことがあった。

ヨンちゃんは、当時まだ3年生というのに、5年生のテストの採点をしていたのである。
お母さんから、「赤ペン」をもらい、お母さんと同じような「丸」と「ペケ」をつけて行く。
テストの正解表があり、それに基づいてやっているだけなのだが、こんな手伝いをすることにより、ヨンちゃんはクソ生意気な子供になって行く。
「ああ、この人賢そうな顔してても案外アホやったんやな」と。

先生には「日直」と呼ばれる当番があった。
授業が終わり、夕方の5時には、生徒全員が帰宅しているのかを確認する。
ヨンちゃんは何度か、お母さんが日直の時には、職員室で時を過ごし、夕方の構内見回りを一緒にしたことがあった。

冬の5時は、もう薄暗かった。
「芳樹、お母ちゃんは南の校舎を見てまわるから、あんたは北の校舎を見て来て」
懐中電灯を持たされて、ヨンちゃんは北校舎の見回りをした。

NGKのような昼間賑わう場所の人のいない夜は、実に不気味なものだ。
それと同じく、ヨンちゃんの見回りをした北校舎もそうだった。

誰もいないのに、人のけはいがするような気がしてならない。
特に、理科室や音楽室は恐ろしかった。

「芳樹、異常なかったか?」
お母さんから聞かれて、冷静を装うヨンちゃんだったが、ドキドキものであった。

さて、3・4年の間、地獄のような苦しみを味わったヨンちゃん、5年になって、やっと元の陽気で活発なヨンちゃんに戻って行くのでありました。
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