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萩原芳樹のブログ
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玉出のアパ-トに、よく遊びに来る友人がいた。
「三宅」という男で、私と同じ年。
いつもたまる喫茶店の常連客の一人だ。

魚市場の「まぐろ屋」でバイトしていて、昼過ぎには仕事が終わるので喫茶店代のない時は、私のアパ-トに来てはゴロゴロしているのである。

そんな彼がある日のこと。手土産をぶら下げて来た。
店から「大トロ」をもらって来たというのである。
見れば、20センチ角の大きなトロの固まり。買えばかなりの値はすると思うシロモノ。
いつも来ているので、たまには・・・と、気を使ってくれたのかもしれない。

「とんぺ-、これをアテにして酒飲もうや」
「わかった。そしたら酒は俺が買うわ」
二人して酒屋に行き、日本酒を一本買った。
 

「けど、あの部屋で二人で飲んでも盛り上がらんなぁ。公園で一杯やるとするか」
私と三宅は、近所の公園に。
大トロの固まりを二つにブツ切りして、左手に大トロのブロックを持ち、右手でコップ酒を。
「旨いなぁ」
最初は、大トロをアテにして酒を飲んで満足していたが、二人とも酒が強くて、なかなか酔いがまわって来ない。

「もっと酔える方法ないかな」
「ブロンコに乗ってみようか。酔いがまわるかも知れん」
二人してブランコに乗った。
ブランコをこぎながら、左手の大トロをかじりながら右手のコップ酒を呷る。
案の定、二人ともあっという間に酔いがまわって来た。
しかし・・・完全に悪酔いであった。
気分が悪くなって、結局アパ-トに戻って酔いをさましたのを覚えている。

全くバカな19歳の思い出です。
さて、この三宅という人物、本当に奇妙な奴で、元々仕事もせずに毎日パチンコばかりをして暮らしていた男。
そんな彼が、突然魚市場で働くようになったのは、ある事件が起こったからでした。
その事件とは・・・。
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