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萩原芳樹のブログ
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「三宅」という男と知り合ったのは、玉出の喫茶店「レ-ブ」にて。
中学時代に、漫才コンビを組んだことのある「俊市郎」の同級生で自然とつきあいが出来た。

工業高校を卒業して、車の整備士をしていたらしいが、すぐにやめてしまい、連日パチンコに明け暮れては喫茶店で時間潰していた奴だった。
喫茶店に平気でコ-ヒ-一杯で6時間位はいた男。
ウェイトレスが、いい加減に帰ってほしいと水を持って来ると、「ぼ、ぼ、僕はア、ア、アホかな」と、必ず山下清のモノマネをしていた。
そして、「清香ちゃん(そのウェイトレスの名前)のあ、あ、足はふ、ふ、太いな」と、言っては嫌がられていた奴だった。

でも、喫茶店「レ-ブ」にたまっていた連中には、何故か人気があった。
競争心の全くない男で、誰もが気を許してしまえるのが理由だろうか。

そんなある日、喫茶店にたまっている連中で「ドライブに行こうか」と、話が盛り上がった。
勿論、誰も車なんて持ってはいない。
レンタカ-を借りようということになった。
店に入りたての吉田というバ-テンと、三宅が車を借りに行った。

ところがである。
いくら待てども、二人は帰って来ない。
「何をしているんだろうか」と、思っていると、数時間経って、やっと二人が戻って来た。
が、肝心のレンタカ-はなし。
「どうしたの?」と、聞くと、
どうやら、借りてすぐに事故を起こしてしまったらしい。

その事故の内容がこうである。
バ-テンの吉田が「運転させてくれ」と言うので、三宅は助手席に乗っていたらしい。
ところが、レンタカ-屋を出てすぐのところで、赤信号で停車している車に追突してしまったというのだ。

そして、吉田はいきなり「運転代わってくれるか。俺、今免許証持ってないねん」と。
慌てた三宅は、自分が運転していたことにして事故処理をした。

吉田は、さすがに迷惑をかけたという表情で、そのまま家に帰って行った。

ところが、ところがである。
その吉田は翌日に姿をくらまして行方不明に。
三宅は、事故の責任をかぶって(保険にも入ってなかったので)多額の借金を抱えてしまうことになったのである。

喫茶店の常連客は皆、「吉田を捜せ!三宅がそんな事故の借金抱えることはない」と、心配して言った。

三宅も、必死で吉田の身元を調べた。
そこで、とんでもない事実が発覚した。
自称20歳と言ってた吉田は、まだ16歳で無免許だったのである。
「実家を何とか探して、親に責任取ってもらえ」
そう皆に言われた三宅は、吉田の実家を調べて出かけることになった訳ですが・・・。
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