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萩原芳樹のブログ
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ネネが「二代目柳流亭らん子」を継いだことを聞いたヘンリ-は、驚いた。
女性音曲トリオ「こまどり娘」のリ-ダ-である大きな名前であるし、ヘンリ-が「スカタンボ-イズ」で笑楽座に出ていた頃、先輩であった初代らん子には、何かと世話になったものだ。

「何の下積みもしてないオマエに芸人なんかできる訳がない。さぁ、キャバレ-に戻ろう!」
と、また連れて行こうとする。
「嫌や!私はもうキャバレ-歌手なんかやない!二代目柳流亭らん子や!」
らん子が見栄を切った。

「即興で舞台に上がったオマエが芸人気取りなんかしてたら、ホンマもんの芸人さんに失礼っちゅうもんやがな」
寄席の世界を知り尽くしているからこそ言える言葉であった。

ぽん子が二人を割って入り、
「らん子は、もうホンマもんの芸人や。あれ見せたろ」
「あれて?」
ぽん子が、先程の「顔ノリ」のフリをした。

「あんた顔大きいなぁ」
思わずらん子が、覚えたばかりの「顔ノリ」をする。
「ヒェ~!」

その瞬間であった。
まるでカウンタ-パンチをくらったかのように、ヘンリ-は後ずさりをした。
「ネネ・・・オマエという奴は・・・」
一瞬みんながヘンリ-の次の言葉を、かたずを飲むようにして待つ。

「いつの間に、そんな高度な芸を・・・」
ヘンリ-の口から出た意外な言葉に一同は驚いた。
「顔ノリ」のような古い単純なテクニックを、ヘンリ-は高度な技と思っていたのだ。
「スカタンボ-イズ」は、本当に何の芸もない連中が集まっていたのだなぁ・・・らん子は思った。

「ヘンリ-、ここはキャバレ-と違うてな、みんな酒飲んでないシラフのお客さんばっかりや。それにキャバレ-みたいに、ついでに歌を聞いてるのやない。芸を観る為に木戸銭払うてる有り難いお客さんばっかりや」
らん子は、寄席の魅力を精一杯伝えようとしたが、
「戻りたい言うても、もう知らんからな」
ヘンリ-の冷たい返しが飛んで来た。

「戻ったりせえへんわ!」
らん子は覚悟を決めて叫んだ。
「俺の元へもやぞ!」
「俺の元って?」
「ああ、ここにいたいのなら、この俺とも終わりっちゅうこっちゃ」

この時、ヘンリ-には内心自信があった。
「ネネの奴は、俺にトコトン惚れている。別れるというキ-ワ-ドを使えば必ずキャバレ-に戻って来る」
こう確信していたのであった。
正直キャバレ-からは、「歌手のネネを早く連れ戻して来い」と指示されていたので何が何でも連れ戻さねばならない役目だったのである。

しかし、ヘンリ-の予測は大きく外れた。
ヘンリ-と別れてでも芸人の道を選ぶと、らん子は言い出したのである。

キャバレ-歌手であったネネ(らん子)は、同棲していたヘンリ-からすれば、金づるでもあった。
なので、別れる気なんて全くなかったヘンリ-。
「自分の書いた筋書きが、とんでもないことになった」
ヘンリ-は悔やむが後の祭りである。

「この後どうすれば良いのか・・・」
単純なズルさしか持ち合わせていないその頭で、ヘンリ-は今後のことを考えてみるのであった。

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