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萩原芳樹のブログ
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さて、一ヶ月も舞台に穴を開けて戻って来たものの、柳流亭らん子という自分の名前も勝手に二代目に継がれてしまって、どうしようもない状態の初代らん子。

お囃子の「千吉」に、「どっかに漫才コンビ組みたがっている子はいてないか?」
と、相談をした。
千吉といえば、らん子に「顔ノリ」を教えたあの男である。
「いてまっせ。ここに!」
千吉は、自ら名乗り出たのであった。

「漫才やりたいんか?」
「そら、もう・・・」
「そうか、あんたは三味線のプロやったな。私も三味線弾けるし、二人で三味線漫才やろうやないか!」

ことはトントン拍子に進んだ。
千吉は、二度も舞台に立つ寸前で相方に逃げられた不幸な男である。
そんな千吉にとっては、突然のチャンスであった。

「うちとコンビ組んでな、こまどり娘をギャフンといわせたるのや!」
初代は、芸にかなり自信があったようである。
「コンビ名は、らん子千吉でどうや?」
初代が切り出すと、
「けど、柳流亭らん子の名前は、すでに二代目が継いではるし・・」
「そやなぁ。そしたら師匠の柳流亭おまんの名前を私が継いで、おまん千吉で行こう」
「ええんですか?勝手に亡くなった師匠の名前を継いで」
「ええのや!らん子の名前も勝手に取りよったんや。うちも勝手に師匠の名前を継ぐわ」

そんな訳で、「おまん千吉」のコンビが急遽結成されることになった。
憧れの漫才ができることになって喜んでいる千吉に、初代は女っぽく身を寄せて語りかけた。
「何なら二人して夫婦漫才として売り出そか?」
千吉がその気ならば夫婦になっても良いということである。

突然のことに、さすがの千吉も戸惑い、
「ちょっとそれは・・・ご勘弁を」
と、断った。

プライドの高い初代は、怒りがこみ上げて来て、
「私じゃ不満なんか!」
と、恐ろしい剣幕で怒鳴った。

「いえ違うんです。実は私・・・これでして」
千吉がオカマポ-ズをしたのに、初代もビックリ。
「あんた・・・それやったんか?」
「そうですねん」
と、色っぽくポ-ズを続ける千吉。

実は、千吉が過去に相方に二度も逃げられたのは、男色家のせいであった。
自分の好みの男性を見つけて来てはコンビを組むが、楽屋で迫る。
結局は逃げられてしまうという結末であった。

昭和43年当時といえば夫婦漫才の男女コンビが多かった。
夫婦になったから漫才コンビを組む人もいた。
逆にコンビを組んでから夫婦になったりする場合もあったようだ。

戦前の時代から、寄席の楽屋は男女関係が乱れていたようで、関係ができるとコンビを組むというケ-スも多かったらしい。

あの「ミヤコ蝶々」さんも、最初コンビを組んだ人と結婚するが、やがて亭主の浮気相手に相方の座を乗っ取られるという運命となった。
亭主を乗っ取った女は、決して漫才は上手くはなかったが「床上手」であったと聞いている。
そして「南都雄二」さんとコンビを組んで結婚をして、また捨てられるという、はかない人生。

とにかく「おまん千吉」のコンビで舞台に上がることが決まった。
しかし、この「おまん」を名乗った初代は、私生活にまで、ことごとく「こまどり娘」を潰す作戦を練るのであった。



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