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萩原芳樹のブログ
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ヘンリ-からの手紙を、すっかり自分宛と勘違いしたぽん子は、手紙の内容通り夜10時にホテルパリ-へと向かった。

ラブホテルに入るのは、勿論初めての経験である。
受付の小さな窓口で、
「あのぉ、10時にヘンリ-という人とここで待ち合わせているのですけど」
そう言うと、受付からやたら化粧の派手な婆さんが出て来て、
「ああ、ヘンリ-なら少し遅れるから、先に部屋に入ってて聞いてます」

婆さんに案内されて入った部屋は、和室なのに大きなベッドがあった。
それに部屋の照明が、やたら隠微である。
「どうぞ、ごゆっくり」
婆さんがいなくなったのを確認して、ぽん子は恐る恐るベッドに横たわってみた。
ベッドは大きい上にまん丸であった。
ゴロリと横になり、枕元の何かわからないスイッチを押してみた。

すると「ウィ~ン」という音と共にベッドがグルグル回り始めたのである。
「これは大変!」と、ベッドが回るのを止めようと思うが、どのスイッチで止まるのかもわからない。
むやみやたらにスイッチを押していると、部屋が真っ暗になってしまい、ベッドだけは回り続けている状態になった。

その時であった。
ノックの音がして、ヘンリ-の声がした。
「遅れてすまん。約束通り来てくれたのやな。有り難う」
と、部屋に入って来る。

男性経験のないぽん子は、布団を頭からかぶり小刻みに震えていた。
「何やねん、もう部屋の電気消して、それに回転ベッドまでグルグル回してからに」
暗い部屋の中で、ヘンリ-は、早速ベッドに潜り込む。
「オマエ、暫くの間にえらい太ったな・・・」
ヘンリ-は、まだぽん子であることに気付いていない。

ベッドの中にいたのが、ぽん子と気付いた時はすでに遅かった。
ヘンリ-のミサイルは、すでに発射の準備段階に入ってしまっていたのだ。
ヘンリ-は、遊び人である。
遊び人の男は、用意したミサイルを撃つ相手がたとえ間違っていても容赦なく撃てるように出来ている。

そんな訳で、ぽん子とヘンリ-は結ばれてしまった。
翌日楽屋で、らん子に何と言い訳をしようか等とは、ぽん子の頭の中に全くなかった。
ただ「こんな私にも春が来たわさ!」
そんな思いで一杯だったのである。

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