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萩原芳樹のブログ
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ぽん子が、そそくさと身支度をして楽屋から出て行こうとする。
「ぽん子さん、どこへ行くんですか?夜の舞台、もうすぐ出番ですよ」
らん子が止めようとしたが、
「ゴメン。うち昨夜ヘンリ-とな・・・つまり男と女の関係になってしもたんや」
「ぽん子さんが?ヘンリ-と?」
「あんたにフラれて、さぞ寂しかったのやろうな。私を抱きたいとホテルに誘われて・・ホンマにゴメンな」
「そんなんええですやん。私とあいつとは、もう終わってるのやし」
「それから、ゴメンついでにもう一つ」
「何ですか?」
「今、ヘンリ-から、今夜キャバレ-で歌わへんかという誘いがあってな。うち歌うて来ようと思うてるねん」
「夜のここの舞台は?」
「ぴん子がいてないのやから、どうせ無理やんか」
「そやけど、舞台は二人ででも・・」
「アカン!ぴん子抜きでは無理やって。あんたとでは漫才のかけ合いも出来んやんか」
そう言い残して、ぽん子は出て行こうとする。
まるで明るい未来に向かっての旅立ちのようにも、らん子は見えた。

「ぽん子さん、嬉しそうですね・・・」
「うちなぁ、ホンマは歌手に憧れてたんよ。15歳の時、田舎の岡山出る時も歌手になりたいと思うてた。そやけど、この顔とこの体型やろ。お笑いに進むしかないと諦めてた」
「けど、歌手というても、場所はキャバレ-ですよ」
「どこでもええやん。傍にはギタ-弾いてるヘンリ-がいてくれることやし」

らん子は、嬉しそうなぽん子の姿を見て、哀さを感じた。
「ヘンリ-の奴、またいい加減なことをして、男に未熟で純粋なぽん子さんを騙して」
別れたヘンリ-のことを考えるだけで腹が立って来た。
一年間ヘンリ-と同棲暮らしをしたらん子は、ヘンリ-の浮気グセに何度も泣かされたのは事実であった。
フラフラと、酔っぱらいが千鳥足で、あちこちの飲み屋に顔を出すような感覚で、ヘンリ-は女をつまみ喰いしていたのである。

「ぽん子さん、ヘンリ-のことなんか信用したらアカン!二人でこまどり娘、続けましょうよ」
去って行くぽん子の背中越しに、そう叫んでみたが無理であった。

「寂しいヘンリ-の気持ちを慰められるのは、私しかいてないんよ」
「ぽん子さん・・・」
「それから私、もうここに戻って来んかもわからんけど」
「戻って来ないて?」
「ぴん子も一人で東京に行ってしもうたし、こまどりは解散・・かな」
「ちょっと待ってぬ解散て、そんなアホな!」

一人楽屋に取り残されたらん子は、泣き崩れた。
キャバレ-歌手から、女芸人の道を選び、ヘンリ-とも別れてスタ-トした芸人暮らしであった。
それが、こんなにいとも簡単に、崩壊してしまう等とは予想もしていなかった出来事である。

目の前が真っ暗になった。
と、その時、おまんがやって来た。
「二代目はん、一人で何してますのや?」

らん子には、もはやすがる相談相手もいない。
そこで、おまんに身の上話を相談したのが大失敗となる訳である。



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