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萩原芳樹のブログ
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笑楽座の楽屋に全身ズブ濡れの状態で、突然ぽん子が現れた。
「ぽん子さん、どないしたの、その格好」
らん子が声をかけるが、ぽん子は楽屋の畳に伏せて号泣するばかりであった。

「ヘンリ-と、何かあったの?」
おそらくヘンリ-との間で何かしらのトラブルがあったと、らん子は予想した。
「グル-プサウンズで、デビュ-するから女は邪魔やて」
言い終わらないうちに、またぽん子は号泣を。
つまり、GSのメンバ-にスカウトされたヘンリ-は、ぽん子を捨てて上京してしまったようである。

「しゃあない奴やなぁ」
らん子が舌打ちをして呟いた。
「死のうと思うてな、うち淀川に飛び込んだんや」
「ええっ?」
「そやけど、プカプカ浮いてしもうて、気付いたら大阪湾まで流されてた」
肩を震わせながら泣いている大きなぽん子の背中に向かって、らん子が呟いた。
「ぽん子さん・・・あんたって、脂肪多いねんな」
「ウウッ!」
また、ぽん子が号泣をする。

「キャバレ-歌手の方は?」
「2日でクビになった」
「何かトラブルでも?」
「何もない。ただ私が歌い始めると客席から、おしぼりがいっぱい飛んで来ただけや」
「辛い目におうたなぁ。かわいそうに」

元々キャバレ-歌手だったらん子にとっては、キャバレ-で歌う辛さを身を持って知っていた。
店が忙しくて、ホステスが足りない状態になると、客はいらだって、歌っている歌手にあたる。
らん子も、突然ビ-ル瓶をステ-ジに向かって投げつけられたこともあった。
でも、ぽん子の場合は違ったようである。
クビになるということは、やはりぽん子自信の歌唱力とルックスに問題があったようだ。

「ぽん子さんは、根っからの寄席芸人や。なぁ、もう一回やり直そう」
「ええのんか?許してくれるんか?」

こうして、「こまどり娘」は二人で復活を誓うことになった。
らん子にしてみれば、どんないきさつであれ、自分の元カレを寝取った女であることには違いない。
でも、ズブ濡れで泣いている目の前のぽん子が哀れすぎた。

一人取り残されて行く場所もなくなった時は、自分が一番哀れであると思ってはいた。
でも、こうしてぽん子を見ていると、もっと哀れであると感じたのである。

そんなところに、マネ-ジャ-の米沢さんがやって来て、二人に仕事の依頼だという。
それがまたとんでもない仕事であった。
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