萩原芳樹のブログ
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さて、「お茶子のブル-ス」では、楽屋にチョクチョク差し入れを持って来る少し頭の足りないファンが登場します。
桂あやめさんの、お弟子さん「桂さろめ」さんが演じる訳ですが。 さろめさんは、「らん子のブル-ス・完結編」では、見事に超アホ役を演じきりました。なので、またまたアホ役です。 さろめさんに関しては、次にまた詳しくお話しますが。 お笑いのファンというのは、いくつかの部類に別れるようです。 今は「出待ち」と呼ばれる、楽屋口で待っている人達が主流ですが、 昭和の時代には、いろいろいました。 まず今のように楽屋口で待っていて、ひと言でも芸人さんと会話したいファン。 それに、必ずプレゼントを持って来ては、気を引こうとするファン。 それから、ケバイ化粧をして、何とか芸人と肉体関係を持とうとする「親衛隊」と呼ばれるファン。(お笑いには少ないですが、ミュ-ジシャンには、この手のファンが多いです) そして、一番迷惑なのが、どこで調べたのか、突然芸人の家に、それも夜中にピンポ-ンと現れるファン。 そんな中で、私がB&Bとして花月に出ていた頃、印象に残っている一ファンの存在があります。 それは、ナンバ花月出番の時。 表のテケツ(切符売り場)を通って、我々は楽屋入りする訳ですが、 その日も普段のように、楽屋入りしようといていた時でした。 背後から「順ちゃ~ん!」と呼ぶ声が。 振り向くと、鉄格子越しに(表と楽屋口とは、鉄格子で仕切りがありました)隙間から手を差し出している女の子の姿があったのです。 「順ちゃ~ん!最中持って来たぁ」 鉄格子の隙間から、最中の箱を突き出し、私に渡そうとするのです。 「ああ、有り難いファンの差し入れなんやな」と、私は思って売れ取ろうとしたら、女の子は、じっと私を見てニタッと笑いました。 その笑顔、前歯がありません。 喋り方からして、「少し頭の弱い子やな」と、思ったのですが、 「有り難うな」と、私は素直に受け取り、その最中は楽屋の世話をしてくださっている「お茶子さん」に、そっくり差し上げてしまいました。 そしてまた翌日。 ナンバ花月の楽屋入りをしようとしたら、また背後から、 「順ちゃ~ん!最中持って来たぁ」と。 「有り難うな」と、私はまたまた「お茶子」さんに。 そのまた翌日も、楽屋入りしようとしたら、 「順ちゃ~ん!最中」と、また前歯のない顔で笑っているのです。 ついに私は、こう言いました。 「こんなもん買う金あるんやったら、入場料払うて、漫才見て行ったらええやんか」と。 前歯のない女の子は、首を振り、 「ううん、順ちゃんの喜んでる顔見れたらええねん」と。 それにしても、毎回同じ最中ばかり差し入れを持って来るなんて、少しおかしいなと思って先輩芸人にその話をしたところ、「ああ、今度は君のところに来たんか」と。 つまり、私の前には他の芸人さんに同じように最中を持って来ていたようです。 そして、何故毎回同じ最中なのか・・・その謎も解けました。 彼女は近所の最中屋で働いている子だったようです。 店の最中を黙って持ち出していた訳では決してないでしょう。 店員の割引価格で買えるからと、その女の子なりに考えた最高の差し入れだったのでしょうね。 一ヶ月ほど、彼女の最中ラッシュは続きました。 「今度くらいは、一度その最中をお茶子さんに上げずに食べてみようかな」と、思っていたら、もう彼女は現れなくなりました。 ナンバ花月に楽屋入りする時、背後から「順ちゃ~ん」と、いつ声が聞こえるかと、思っていたのですが、それからは全く、前歯のない女の子は姿を見せなくなりました。 あの前歯のない舌足らずの女の子は、それからどうしたのでしょうか。 頭の弱そうな子だったので、何か妙な奴等にいいようにされたりしてないか・・・と、心配すらしてしまいました。 その女の子、今元気に生きていたら50歳は過ぎていると思います。 幸せになっていたらいいのですが・・・。 あの前歯は、いつ差し歯を入れたのでしょうか・・・。 そんな女の子をモデルにした役を「桂さろめ」が演じます。 ご期待ください! PR |
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