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萩原芳樹のブログ
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昭和40年代後半、「ゴ-ルデンハ-フ」という女性グル-プが存在していたのを、ご存じでしょうか。

「エバ」「マリア」「ルナ」という3人の混血の女性グル-プで「バナナボ-ト」のカバ-で大ヒットもありました。

そのリ-ドボ-カルだった「エバ」ちゃんは、当時のバラエティ番組に引っ張りだこの売れっ子。
今で言うところの「バラエティアイドル」の元祖ですね。

芸能界ズレを全くしていない子で、本当に素直なお嬢さん。
でも、お母さんから「あんたのお父さんは、スペイン人よ」と、教えられているだけで、お父さんの顔も知らずの母子家庭育ち。

一度だけ「どうしても、お父さんに一目会いたい」と、スペインまで行ったようですが、結局お父さんは見つからなかったようです。

お母さんは東北の田舎出身で、「エバ」ちゃんは、お母さんの田舎に帰るのが、何よりもの楽しみだったそうです。

「五郎ちゃん、お母さんの田舎に行って来たけど、朝早くからニワトリが鳴くので、毎日早起きしてしまうの。でも、気持ちいいわぁ」と、スタジオの隅で嬉しそうに話してくれたことを今でも覚えています。

「エバ」ちゃんとは、TVのレギュラ-番組で共演していて、いくら私が頑張ってボケても、「エバ」ちゃんの何気ないひと言には勝てませんでした。

そんな「エバ」ちゃんと共演したレギュラ-番組から、私が外される日のことでした。
「エバ」ちゃんは、何も言わずに涙してくれました。
夜に電話がありました。
「お疲れ様」と、エバちゃん。
「有り難う」と。

本当に純粋な気持ちを持った「エバ」ちゃんでしたが、私が芸能界を去ってから5年後・・・引退して、いっさい消息を絶ってしまったのです。

「エバは、今頃どこでどうしているのかなぁ」と、思っていた時、ある週刊誌に、「エバ」ちゃんの記事が載っていました。

「あの人は今」というシリ-ズで、都内の製本工場で女工さんとして働いていた「エバ」ちゃんを記者は直撃取材しようとしたらしいのです。

その記事によると、「元ゴ-ルデンハ-フのエバらしき女性は、我々が近付くと、工場から逃げるように走り去ってしまった」と。

「何という失礼な取材なんだ!」
私は週刊誌の記事を見て腹が立ちました。

派手な芸能界を引退したからといって、夜のお勤めをしたり、スポンサ-のオジサンの厄介になったりする女性じゃなかった「エバ」ちゃん。
地道に女工さんとして働いているのに「放っておいたれ!」と。

スタ-の道から転落しても、人生をもう一度やり直そうとしている人がいる。
それを世間は何故あざ笑おうとするのでしょうか。

この国は「心の貧しい人」が多すぎるようです。
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