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萩原芳樹のブログ
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デンスケ(携帯用テ-プレコ-ダ-)を片手に、私は「やすし師匠」の楽屋へ。

「宜しくお願いします!」と、私が恐る恐る言うと、
「早うやってしまおう。ハガキ見せ!テ-プをまわせ!」と、やすし師匠。

やすし師匠の人生相談のコ-ナ-は、ハチャメチャでした。
というのも、ほとんど相談して来た人物に怒り出すのです。

「アンタ、こんなこと相談する以前に、自分がしっかりやってないからやろ!」と、相談相手に対して怒りを。

でも、実はこれはディレクタ-と相談した結果の作戦だったのです。
破天荒な「やすし師匠」が、まともに人の相談に乗るのは変です。
「いっそ、毎回相談相手にキレまくるコ-ナ-にしてしまおう」と、私の作ったニセハガキも、あえて怒らせるような内容にしていました。

意図通りに、師匠は怒りまくり、無事録音を終了。
録音を終えると、お約束があるらしく、やすし師匠は楽屋から飛び出して行かれました。

私は、ホッとしました。
「ニセハガキがバレて叱られるかと思いきや、無事バレずに、しかも意図通りの結果になった」と、胸をなで下ろしました。

ハガキは勿論消印のあるのを使い、筆跡もいろんな人に書いてもらっていたので、これが成功だった・・・と、思ったのですが・・・。

よくよく見ると、4通のハガキの文体は、非常によく似ていて、人生相談に至る文章構成も、ほとんど同じだったことに気付きました。。

やすし師匠は、急がれていた様子だったので、そのことに気付かなかったのでしょうか・・・。

後日、私が思ったことですが・・・。
やすし師匠は、この時すでに私が作ったモノを、ニセハガキだとわかっていらしたような気がするのです。

「萩原・・・オマエの演出に、一つ乗ってやるか」
そうして、怒りの自己演出をしてくださっていたのではないか・・・と、思ってしまうのです。

「やすし師匠」は、本質の部分を決して他人に見せない方でした。

結局、そのラジオのコ-ナ-は、半年ほどで無事終えることになりました。
しかし、今度はもっと大変なことになったのです。

私が「やすしきよし」さんの漫才台本を書き、その上、お二人主演のコメディも書かなくてはならないという仕事が舞い込んで来たのです。

思えば姫路の中学生だった私が、やすし師匠と出会い、そして今作家活動を始めている。
漫才の「いろは」を教えてくださった方の台本を書かねばならなくなってしまったのです。

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