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萩原芳樹のブログ
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作家活動を始めて、とにかく生活の為には、より多くの仕事をしないとダメなので、私はあらゆる「ツテ」を頼りに動きまくりました。

保富康午というう放送作家の大先生を紹介していただきました。
保富先生は、TV創世記時代から、主に歌番組の構成を手がけておられて、あの「古時計」の作詞者でもある方です。

まず先生について、一緒に歌謡番組の構成をさせていただき、TV台本の書き方を教わりました。
「萩原君は、いろんな社会経験を踏んでいるだけあって、良く気がつくねぇ」と、お褒めの言葉をいただき、その上「演歌番組」の構成に私を推薦してくださいました。

テレビ東京のプロデュ-サ-を紹介してもらって、「作家として、やっと一本立ちできる」と、意気込んでいたのですが・・・。

「明日の朝までに、30曲分のナレ-ションを書いて来てほしい」と。
演歌のイントロで流れるナレ-ションなのですが、私は勿論書いた経験もなし。一曲でも一晩悩むと思われるのに、いきなり30曲です。

「ハイ、承知しました!」と、私は明るく答えて帰宅したのですが、無茶な注文を引き受けたことに後悔を。
一口に「演歌のナレ-ション」といっても、秒数に逢わせたコメントを作らなければならないし、イントロのセリ上がり部分にピッタリはまる言葉が必要だったりするのです。

まだ初心者の私は、無我夢中で徹夜をして30曲のナレ-ションを仕上げました。
翌日、テレビ東京に行くと、「全然ダメじゃないか!」と、プロデュ-サ-から、お叱りを。

「すみません。すぐ書き直しますから」と、私が言うと、
「書き直さなくていい。オマエ、ペンと紙を出せ」と、プロデュ-サ-。
「今から言うコメントを書いて、台本の冒頭に添えるように」と。

私は何のことだかわからないまま、言われるままにメモを。
「私は未熟な作家で、こんなナレ-ションしか書けませんでした。出演者の皆様、どうかお許しください」

とんでもない話です。詫び状を台本の表に添えろと言われたのですから。

結局ディレクタ-に相談したところ、詫び状はまずナシにしてもらって、ナレ-ションの直しも、ディレクタ-のアドバイスで何とかなりました。

そのプロデュ-サ-は、私を怒りながらも、次から次へと、新番組を担当させてもらい、私はテレビ東京の歌謡番組を3本も、やらせてもらえるようになったのです。
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