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萩原芳樹のブログ
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父が亡くなった翌日の昼前、姫路の実家に到着。

集まっていた親戚や近所の人達は、私に対して冷たい視線でした。
「この親不幸息子が。今頃ノコノコと」全ての目は、そう語っているようでした。

お通夜の段取りに追われながら、「ニッポン放送」に連絡を。
「できれば一本目の収録日を変更してもらえれば」と、勝手なことを思っていたのですが、そうも行きません。
すでにゲスト歌手がブッキングされて、公開録画の場所も確保してあるので、無理なのは当然です。
困った私は、急遽友達のタレントに代演を依頼して、それで勘弁してもらいました。
事務所に所属してなくて、マネ-ジャ-もいなということが、こんなところで大打撃になってしまったのです。

「とりあえずは、葬式を終えてから、次の展開を考えよう」
私は、喪主として父の葬式を無事済ませました。

そして、葬式の夜のことでした。
来てくれた親戚も全員帰り、家には私と母の二人きり。
私は、今後のことを母にどう話しようかと迷っていました。

母は小学校の教員で、現役で働いているので生活は大丈夫です。
でも、寂しくなるのは当たり前のこと。
私は、それでも心を鬼にして「芸人を続けさせてくれ」と言うつもりでした。

言いそびれたまま就寝時間を迎えました。
隣りの布団で母は横になっています。
「今、話をしようかなぁ」と、思って母をのぞき込みました。
すると・・・。

母は、しっかりと目を開けたまま、天井を見つめて涙をボロボロ流していたのです。
お通夜から葬式にかけて、母はいっさい涙を見せませんでした。
そんな母が、深夜布団の上で無言のまま涙を流し続けていたのです。

「お母さん・・・俺、芸能界やめる」
とっさに、その言葉が出てしまいました。
母は、天井を見つめたまま、
「そうか、お父さんの遺言みたいなもんやったからな」と。

このひと言で、私は15歳から憧れた芸人生活にピリオドを打つことになってしまったのです。

翌朝・・・私は昨夜の自分の言葉に後悔はしていませんでした。
「生まれ変わるんや、俺・・・けど、どうやって、何をして生まれ変わったらええのや?」

父はこの世の人ではなくなった。が、私は生きている。
「何かに生まれ変われ」と父は告げている筈。
しかし正直、目の前が真っ暗になってしまったのが事実でした。
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