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萩原芳樹のブログ
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吉本を勝手に飛び出して、一年余り。
TVのレギュラ-もいただいて、すっかりその気になっていた私でしたが、辞めた吉本さんのことが、ずっと気になっていました。
「蒸発」という、とんでもない方法で、私は吉本を去ってしまっていたのですから。
「いつ吉本に東京での芸能活動がバレて、潰されるのか」と、ハラハラしていました。

思えば、大阪を去る前夜のことでした。
「東京で、新転地の活動をしたい」と思っていた私は、一番の親友と思っていた人物に、深夜にもかかわらず相談に行きました。
当時「横中バック」であった「西川のりお」さんです。

バックちゃんは、私の話を親身になって聞いてくれた末、
「そやけど順ちゃん、変な辞め方したら、吉本から潰されるだけやで」と。

つまり、堂々と辞めて東京に単身行くことは危険極まりないということ。
「いっそ、蒸発でもして芸能界から完全に姿を消すフリをした方が、東京で再スタ-トしやすいのでは」と。

「そやな、わかった。俺明日蒸発するわ!」
こうして、私は本当に劇場やTVの仕事に穴を開けて、東京に行ってしまったのです。

そして、東京に行って一週間後、バックちゃんから電話が。
「自分、あんなこと言うたけど、ホンマにやるとは思わんかったがな。
大阪では偉い騒ぎになってるで。新聞でも、順ちゃんは殺されたのやないかと書かれてたりしてる。ちゃんと吉本と話した方がええで」と。

そして、大阪に戻り、吉本のお偉いさんと話を。
「舞台に穴開けて、オマエどこへ行ってたんや?」
そう聞かれて、
「道後温泉に行ってました」と、ウソを。
「それで、どないするつもりや?」
「これ以上、芸人として続けて行く自信はありません」と。

その頃、私はすでに赤坂の店でショ-タイムをやっていたのですが、自分を守る為の思いっきりのウソでした。

そんな大ウソをついてから一年後。
私が東京で活動していることは、すでに吉本にはバレているとはわかっていました。

そんな時、一本の電話がかかって来ました。
吉本の木村さんという方からでした。
木村さんは、やすきよのマネ-ジャ-であり、我々B&Bを何とか人気者に育てようと、いろいろ売り込んでいただいた恩人のような方でした。

「明日、東京に行くから会って話したいことがあるのやけど」
電話は、約束の時間と場所だけ指定されて切れました。

「ついに来る時が来たか・・・」受話器を置いて、大きなため息を。
芸能界とは、個人の才能と、巨大権力のぶつかり合いの世界。
21歳の若者が、いくらあがいてみても、巨大な力には対抗することはできないのです。

そして、怖々とその約束の場所へと。
ところが、吉本の木村さんの口から出た内容が、私の想像と全く逆のことでした。
また続きます。

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